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あんな山の上で(部屋のカレンダーを見て想う)   


あんな山の頂上で寝ころんだらいい気持ちだろう
若葉が透きとおり
鯉のぼりがゆーらりと風になびいて
青いあおい空には優しい雲が流れて行く
茅葺の屋根がきれいに乾いて
豆の干してある庭を通り
畦道を通り
裏山をゆるゆる登って行くと
急に明るくなって反対側の田んぼが遠くまで広がっている
湿ってあたたかい草の上にひっくり返って
雲を数えながら眠ってしまおう
蟻が一匹、私の足を好き放題に歩いている

明るい光が天と地を埋め
人も虫も木も風もひとつになって大きな呼吸(いき)をしている
こせこせした青白い顔も
かなしく歪んだ争いも
臆病なきちがいも
あんな山の上でひっくり返ってみたなら
とうの昔にみんな忘れてしまうよ


(1978.5)

by hannah5 | 2004-11-17 23:33 | 萌芽(before 1997)

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