灯   


冷たくなってゆく夜の端に坐る
空白が満たされたあとの小さな余韻と
人心地ついて見つけた密かな灯が
夜の片隅を照らす

ひとりでいる時間が長いのに
ひとりでいることに慣れたことがない
隙間を埋めるために思いついた悪戯が
いつのまにか習慣となり
習慣が生活の一部となり
その連鎖をいつかは断ち切ろうと思うのだけれど

体のどこかが蝕まれている気がする
ひとつの苦しみが立ち去り
そのあとをもうひとつの苦しみが追う
薄い影につけられているらしい

 振り返ってみれば、去年は良いことと悪いことが入り混じっていて、けれど全般的に
 は上向きでした。去年の終わりごろには少し幸せになりました。

そう書いた新年の挨拶だったが
いつのまにか濃淡の差が大きくなって
そのままずっと続いていく気配がする


玄米茶の香りが咽喉を伝って落ちる
小さな光の泡粒が揺れている


夜の端で見つけた灯を
手の中にかざして
じっと見る


(抒情文芸127号 佳作)
[PR]

by hannah5 | 2009-04-25 13:23 | 投稿・同人誌など

<< わたしを拾う 誰も知らない可笑しみを笑う >>