眠れない夜に
2009年 06月 23日
ずっとわたしを
見ていてほしかった
忘却のわずかな隙間に潜んでいる
小さな望み
しあわせってなんだろう
魂の一番ふかいところに
火の粉のように降ってきた
混ぜ物なしの直感
わき目もふらずにしっかり握っていれば
どこかでしあわせになれたかもしれない
泥にまみれるのが怖かったのか
心が信じられなかったのか
自分を頼りきることができなかったのか
たぶんどれもが正解で
どれもが当たっていない
死ぬということは
ある日突然
今まで大切にしてきたものが
小枝をぽきりと折るように
わたしの心とは無関係になるということだ
そこから先はいくら考えてみても
思い出のつづきはつくってはくれない
あれからわたしは
折れ曲がったり千切れたり
切り傷をつくったりしながら
あなたの知らない夢をいくつも見てきました
理性とか常識とか世間体とか
そんなものが何になるでしょう
ずっと
ずっと
あなたの心の中で
遊んでいたかった
(抒情文芸131号 佳作)
by hannah5 | 2009-06-23 13:30 | 投稿・同人誌など