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眠れない夜に   


ずっとわたしを
見ていてほしかった

忘却のわずかな隙間に潜んでいる
小さな望み

しあわせってなんだろう

魂の一番ふかいところに
火の粉のように降ってきた
混ぜ物なしの直感
わき目もふらずにしっかり握っていれば
どこかでしあわせになれたかもしれない

泥にまみれるのが怖かったのか
心が信じられなかったのか
自分を頼りきることができなかったのか
たぶんどれもが正解で
どれもが当たっていない

死ぬということは
ある日突然
今まで大切にしてきたものが
小枝をぽきりと折るように
わたしの心とは無関係になるということだ
そこから先はいくら考えてみても
思い出のつづきはつくってはくれない

あれからわたしは
折れ曲がったり千切れたり
切り傷をつくったりしながら
あなたの知らない夢をいくつも見てきました

理性とか常識とか世間体とか
そんなものが何になるでしょう

ずっと
ずっと
あなたの心の中で
遊んでいたかった


(抒情文芸131号 佳作)

by hannah5 | 2009-06-23 13:30 | 投稿・同人誌など

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