それぞれ   


ここにある
わたしたちのそれぞれの空間
わたしたちのまわりにぽっかりとあいた空洞
詰めることと埋めることとが泳いでいる空間に
しずかな一滴を垂らして
しいんと座ってみる

座るということは
もっともおごそかな思いの発露
空洞の中心に腰を据え
そよぐもの
流れるもの
漂いうつろうものの
順々に現われては消えまた現われるさまを
手に取り身にまとう

小さな空洞が繭玉のように
ぽっかりと浮かびあがり
いくつも寄り集まり
お互いの距離を等しく保ちながら
繭の中から
息がぷつぷつと気泡になって生まれつづける

目の前で生まれてくる
乳白色の気泡をやりすごす
となりの
となりのとなりの
そのまたひと呼吸おいたとなりの
浮かびつづける空洞の
空洞たちの
わたしの
わたしたちの
似ているようで似ていない
それぞれ


(詩と思想2009年3月 入選)
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by hannah5 | 2009-04-25 13:36 | 投稿・同人誌など

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