押し胸   


            ノートに書きつける
              平たくなった胸の内


生の花を新聞紙の間に入れて
上から重石を置いて平たくつぶす
押し花というものだけれど
これはさしずめ
押し胸

しわや亀裂や切り傷やでこぼこした胸の内を
そのままぺったりと白いノートの上に置く
上から手のひらでぎゅうぎゅうと
二、三度押さえつけ撫でつけると
胸の中から
んぎゅううう・・・
という音が漏れてきて
血のいろや青白いいろや泥のいろが
ぽつぽつと紙の上に滲み出てきた

(毛虫をつぶすとこんな感じかしらん)

ぼんやりと見とれて考え事をしていた

青い汁の出た
毛虫のつぶれたのなんて気持が悪くて
いつもは見たくもないのに
なぜだか今日は
つぶれた胸を見ても平気だ

紙の上に点々とついている赤や青や茶の
生々しい色が
冷めた目をして空を見ている


(詩と思想2009年3月 佳作)
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by hannah5 | 2009-04-25 13:38 | 投稿・同人誌など

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