押し胸
2009年 04月 25日
ノートに書きつける
平たくなった胸の内
生の花を新聞紙の間に入れて
上から重石を置いて平たくつぶす
押し花というものだけれど
これはさしずめ
押し胸
しわや亀裂や切り傷やでこぼこした胸の内を
そのままぺったりと白いノートの上に置く
上から手のひらでぎゅうぎゅうと
二、三度押さえつけ撫でつけると
胸の中から
んぎゅううう・・・
という音が漏れてきて
血のいろや青白いいろや泥のいろが
ぽつぽつと紙の上に滲み出てきた
(毛虫をつぶすとこんな感じかしらん)
ぼんやりと見とれて考え事をしていた
青い汁の出た
毛虫のつぶれたのなんて気持が悪くて
いつもは見たくもないのに
なぜだか今日は
つぶれた胸を見ても平気だ
紙の上に点々とついている赤や青や茶の
生々しい色が
冷めた目をして空を見ている
(詩と思想2009年3月 佳作)
by hannah5 | 2009-04-25 13:38 | 投稿・同人誌など