レールの終着点
2009年 06月 28日
ひと山のズボンが改札口から絞り出される
ぐわり
ぐわり
黒々とズボンが歩く
バス停に並び始める
列が出来る
列からこぼれたズボンが
スーパーの向こうの暗がりに吸い込まれる
ひと山のブーツが改札口から絞り出される
くわり
くわり
細々とブーツが現れる
バス停の列に加えられる
列が出来る
列から漏れたブーツが
スーパーの向こうの暗がりに吸い込まれる
タッ タッ タッ タッ タッ
無言の靴音が舗道を鳴らす
ズボンが次々と歩く
ブーツが細々と歩く
タッ タッ タッ タッ タッ
働くために存在する足
歩くために存在する労働
バス停の列が膨れる
暗がりが吸い込む
寡黙なレールから降りる
今日という終着点
(詩と思想7月号 佳作)
by hannah5 | 2009-06-28 13:56 | 投稿・同人誌など