夜の間に機を織る   


夜が開かれたまま
閉じないでいることを喜んでいるのは
だれか

あけ放した夜を
朝になってから閉めようとしても
オープンエンドになった時間は
ふさがれるのをいやがって
言うことを聞かない

ひっそりと時間を裏返して
だれの目も見ずに
しばらく姿をくらますのも
ひとつの手かもしれない

コンコン、
とドアをノックする音がする

素顔を明るい光の中にさらすのが
ためらわれるほど
伏し目がちに落とした目元が
隠微に消えそうな気配がする

あなたと繋がっているへその緒を
細く長く
切れる寸前まで伸ばして

その上を歩いたら切れますよ、

宣伝文句が功を奏したかして
だれも寄りつかなくなった頃

さらにもう一回夜を裏返して

折りたたんだ夜のどこかに
わたしの影を押し込んで
あなたに見つかる前に

いなくなる


(詩と思想8月号 入選)
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by hannah5 | 2009-08-05 14:02 | 投稿・同人誌など

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