想う   


しらじらと痩せてしまったあの人の骨の
ほそぼそとした中心を
一心に見つめる

しろくて優しいいのちがすっくすっくと流れている
風にたたかれても折れないしらじらとした骨を
手に持ったり
胸に抱いたりしながら
カラン
 コロン
とたたいてみる

つめたい風が吹いてきて
骨の髄をひんやり冷やしていく
すると あの人は
ちりちりとした世界を脳裡に焼きつけ
骨の髄いっぱいに思いを書きつけていった

カラン
 コロン

あの人に肉は似合わない
だからあの人は肉を身につけないことにしている
それでも気が変わることがあるらしく
しばらく肉を見つめ
ひょいと身に纏ってみたりもする

たまにはわたしも肉を愛でてみたくなる
あの人の肉を手にとり
隅々までくまなくなでまわし
重みを握ってみたり
厚みをかじってみたりする

わたしたちは案外もろくて
そんなことで安心している
そのうちもう少し強くなったら
骨をかき抱いて
はっし、はっし、と
火にくべてみようか


(詩と思想9月号詩作品掲載)
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by hannah5 | 2009-09-16 12:25 | 投稿・同人誌など

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