父という   


乾からびた空気を握りしめて
今夜も眠る
夕べもそうだった
その前も
そのずっと前も
たぶんあしたもあさっても

おぅおぅと泣かない
涙をどこかにしまったまま忘れている
もしかしたら
おい茂った苔の中に落としたのかもしれない

 ― 見つからないよ
 ― どこを探しても見つからない

ガタピシとひび割れているから
直そうと思っても
硬くて直すこともできない

空気を飲みこむのが得意で
技術を磨いてワンランクアップしたのに
空気を吐きだすのは苦手で

タイミングがむずかしい
こことそこを持って
くいっと吐きだすのが
どうしてもうまくいかない

そうして表面だけはなでつけておいた
強くうつくしくたくましく
どこから見てもほれぼれするほど無駄がなく

いつのまにか下から滲んでくる
ひびの割れ目のヒビの否否
表面に映らないようにね、
と言っているそばから
ひび割れが広がりつづけて

それでも
知らん顔して遠くを見ていた


(詩と思想9月号佳作)
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by hannah5 | 2009-10-02 20:00 | 投稿・同人誌など

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