言い訳   


黙っていればよかった

あたためられて上昇していく気球のように
熱せられていく空気を
じっと抱えていることができなくなって
そうかい、
と言って手放してしまった

それでやめておけばよかったのだけれど
熱い息を吹きかけたから
静かなはずだった現実は
熱に浮かれた非現実に変わり

あの日から落ち着きをなくしたまま
騒々しい心が
起き上がっては挨拶していくのを見つめている

ねえ、覚えてる?
初めて等身大の姿が鏡に映って
なんだか落ち着かないけれど
自然体で呼吸できる、ああ、これね、と
からだの一番奥深くでうなずいているものだった

黙っていればよかったのかもしれない

人はいつかどこかで
自分が創られた言い訳に
戻っていかなければならない日がある

連綿と続いていく時間の中に
木の根のように張っているもの
それに行き当たったら
ひたすら饒舌になるしかないね


(狼+17号所収)
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by hannah5 | 2009-11-22 17:47 | 投稿・同人誌など

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