階段   


わたしが上っているのは
この階段
知らない街の知らない空間にある
急勾配と平坦が混ざりあい
地図で見つけるのがむずかしい階段
初めて感じる足の感触の途切れ途切れ
階段を上ったらどこへ行く?
いつまで上っていればいい?
途中から引き返してもいいですか

急勾配の途中で突然現れた平坦は
小さな光の中にあって
ゆるゆるとした気分を漂わせ
少し息継ぎをして
少し日干しをすれば
足の感触がまだ続いていく

(期待が少し)
(戸惑いが少し)

そういえば平坦な階段の途中で
白昼夢を見たけれど
戸惑いも期待も感じさせないごくありふれた日常の
ごく地味な面持ちだけが現れて

見いだすことも
見いだされることも願わず
きのうときょうの境目で息をしている脈拍が
濃く薄く濃く薄く
刻みながら流れている

痛かった急勾配が少しだけやわらいで
少しだけ先が明るくなり
肺が徐々に膨らんで
空気が送りこまれ送りだされる
その瞬間にかすかにひび割れる音がして
膨張した肺の中から
湿った夢がひとつ ひらひら
羽が生えて飛んでいった

階段をまた上る
急勾配の続く上へ
もしかしたら 粉砕した砂糖菓子の降りつもるてっぺんに
息を切らして やっと立つのかもしれないけれど


(狼+17号所収)
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by hannah5 | 2009-11-28 23:40 | 投稿・同人誌など

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