藍いろの空   


藍いろに染まっていく空のかたちが
そのまま降りてきて わたしたちが
何をしゃべっていたのか思い出せないほど
ひそやかだった時間が
小さな音をたてて
心臓の付け根あたりに皺をつくる

そのたびに
少しだけ空に圧迫されるような気がして
ガラス窓の向こうに見える灯りや
道行く人に目を移す

ポストカードや三日月の栞や
ペーパーウェイトや犬の木彫りや
会うたびにもらったきれいな物たちが
透明なプラスチックの箱の中で
ひみつの宝物みたいにふえていって
しずかな夜 箱をあけては
ひとつずつ取り出して見ている

今日の藍いろの空は けれども
それらのどの宝物よりもひっそりとしていて
一人ほっとして
だれもいない空の中で
折りたたんでしまっておいた気分を広げている

空が暗闇に落ちていく寸前
ひとりでいることがとがめられず
ゆるめられてほのかに
あたたかい


(旋律24号掲載)
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by hannah5 | 2010-01-04 21:17 | 投稿・同人誌など

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