波長がぶれて
2010年 01月 12日
とんでもなく遠くへ行ってしまいそうな
わたしたちの会話
一人がぶちぶち言えば
もう一人がにぎにぎ言い返す
一つぼたんがはずれたまま
一つぼたんをはめそこなう
あなたのイロハと
わたしのイロハが
時間差を残したまま
並行に走らず
先になり追いかけ
追い越そうとして
ハンドルを切りそこね
カーブを曲がり切れずに
急ブレーキをかけたまま
ガードレールに突っ込んでしまった
曇り空が広がって
みるみるうちに暗雲が立ち込め
あなたの姿が見えないまま
わたしの姿も見つけてもらえないまま
わたしたちは手探りで
お互いを探している
ほんとうは走ったりしないで
歩いていけばいいんだろうな
息が切れないくらいのスピードで
ここにいるよって大声を出さずに
ただ歩いていけばいいんだろう
そうやって自然歩行でいけば
いつのまにか
あなたの手とわたしの手がつながって
そのままなんとなく離れずに
二人並んでいくことができるんだろうね
(詩と思想1・2月号投稿作品)
詩と思想1・2月号で入らなかった作品。
でも、海埜今日子さんが評をくださいました。
「ずれた姿をもっと突き詰めて欲しい」と。
by hannah5 | 2010-01-12 18:30 | 投稿・同人誌など