失敗しない笑い方   


固い雨の中
もつれたたくさんの糸をほどこうとして
どんどん絡まっていくから
ひっそりとやせ細るほど怪しくなって
酸っぱい気持のまま歩きつづけた
きのうからきょうからあしたにかけて

筋ばった空気のほどき方がわからない
ひとつふたつみっつ数えながら
ねぇ、どうしてなんだよぉ
とひときわ大きく放りあげてみた
すると落ちてきたのは
痩せこけて目ばかりギョロギョロしている空気

わたしの先にあるのは
こんなはずじゃなかった
が禁句だった未来
なのに踏み込んだ森はかなり見透しが悪く
東西南北の磁石は使いものにならず
おまけにわたし自身はかなりの方向音痴であり

ひぃふぅみぃよぉ
いろはにほへとちりぬるを
あぶだかたぶら
チチンプイ!
唱えた呪文が山と積まれる

世界は深遠のまま廻りつづけて
遊園地のメリーゴーラウンドより面白く
宇宙を飛びつづける衛星より酔い心地もよく
どこかにほころびがあるはずで
とりあえず引っかいてみれば
あの時どこまでもするすると伸びていった弓のような熱が
着地しているのが見つかるかもしれない

失敗しない笑い方って
あるのだろうか


(新現代詩9号掲載)
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by hannah5 | 2010-02-17 18:15 | 投稿・同人誌など

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