もつれて   


そういえば
今夜は街の猫が
立ち止まってくれたから
― しかも二度も
良しとしよう

気ままな猫と
怪しげにもつれあう瞬間が
スキ
月の下で
神経を張りめぐらした繊細な生物の
幕を下ろしたあとのような
ごく平凡でごくあたりまえの息遣いが
わたしの中に流れこんでくる
微量な思い入れが
わたしを捕え
こんな感覚は
ほんとうに久しぶりだ
ちょうど助走する前の
一気に足を踏みださないように
気持ちを引き締めている瞬間に似ている

しなだれかかる空気
雪柳のような時間
つむぐことのできない始まりと終わり
時計が終わるころ
わたしが始まり
エンドレスのおしゃべりが始まる

出会ってはいけないのに
出会ってしまったことが
最大の不幸であり裏切りなのに
いまを握りしめて
夜の深みにささやきかける

猫のような
 何もかも


(旋律25号所収)
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by hannah5 | 2010-07-13 22:27 | 投稿・同人誌など

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