旅支度
2004年 12月 14日
むしろ
大地に任せようか
死は誰にも訪れるものだから
あたふたしてみたところで
生命の終焉を多少遅らせるだけだ
神様が与えた寿命という物差しは
人間の心地よさを反映しない
いやむしろ
自分勝手な悲しみを放り捨ててみようか
重い鎧かぶとがはずれて
生命は安らかに息をし始めるに違いない
存外 人はもとより寿命の長さを心得ていて
私が泣くのをいぶかしがっているかもしれない
悲しみは
時の向こうに向かって旅支度を始めた人の
邪魔になるだけではないか
生まれる前の時間と
死後延々と続く時間の長さを考えれば
この世の数十年はちりにも等しく
私のちっぽけな愛情など
広大な宇宙に呑み込まれてしまう
二度と戻らぬ旅に出る人に
持たせられる手土産は
笑い合い溶け合う日々を編んだ時模様
by hannah5 | 2004-12-14 23:13 | 作品(2004-2008)