私の好きな詩・言葉(28) 「地上の歩き方」   

言葉が氾濫する日々に、静かで聡明な空気が漂う。世界が不安げに右往左往したり、些細なことに有頂天になっている中で、一人マイペースでこっつりこっつり詩を詠む人がいる。その詩には、確かさと斬新さとユーモアと優しさの糸が幾重にも織り込まれている。風合いは穏やか、けれど未知なるものへの探究心が色合いを引き立てる。

ksksk312さんの「地上の歩き方」に引き込まれました。過去から今に至るまでの心象風景がモザイク写真のように並べられていて、自分の想いと重なりました。詩集「ルソーカップ」(第6回)で準グランプリを取った作品です。(「地上の歩き方」)(ksksk312さんのブログ「抹香クジラの脊椎コロニー別館」はこちら


地上の歩き方


どきん とした                        宇宙 しがらみ
どきん とした                        日本国

車椅子の少女の                      痛みと 声をもたらし
白い帽子が ふわと泳ぎ                 ヒトの中から
                                 詩人ひきずり出すもの
どきん とした
どきん とした                        しょぼくれ
                                へこたれ 愚痴っても
青竹色の鉄とびらが                    リズムと気をもたらすもの
ばたんばたん
                                地上よ きみは
どきん とした                        オペラのように饒舌だ
どきん とした
                                脳をながれる 血液が
ニコンの広告のような                   真のしじまを消すように
青い空がきらり
                                昼に はげまし
海をこえる                          夜には なぶる
中国行きのジェット
                                つかみどころない
どきん とした                        無神論の 独身者に
どきん とした
                                気まぐれに 虹を見せて
仕事を終え 出る                     ふっと 消す
秋のテーマパーク
                                メルカトル図法
定規でひいたような 雲                 ランベルト方位正積図法
見て よみがえる
                                ポケットの中
メルカトル図法                       握りこぶしに 一五才
ランベルト方位正積図法
                                もうひとつの 心臓が
一五才 地理クラブ                    小さなビートを打っている
あこがれの 世界地図
                                どきん どきん と
どきん とした                        どきん どきん と
どきん とした
                                曲がりくねった 混沌を
ひんやりした風                       このまままっすぐ 歩いてみる
電話線のハーモニー
                                いつか わたしに
成層圏から地殻まで                   たどりつく
たわわに実った空気の底
                                もいちど だれかに
この町で 一人                       たどりつく
てくてくと
                                どきん どきん と
曲がりくねった 混沌を                  どきん どきん と
ためしにまっすぐ 歩いてきた
                                一衣帯水
メルカトル図法                       海沿いの
ランベルト方位正積図法                 プラットホーム

世間知らずの                       ディーゼルカー
「地図」を信じて                      はなだ色のセーター着た
                                いつもの 美人と待つ
赤信号にも逆らわず
重力 担いで生きてきた                 どきん とした
                                どきん とした

                                しみるぜ 太陽
                                でんぐり返った眼球で
                                白血球の小航海

                                どきん と
                                どきん と

                                生きている?
                                生きているぞ
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by hannah5 | 2005-02-13 16:24 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(9)

Commented by raichi mix at 2005-02-14 11:23 x
メルカトル図法・・航海図~。・。・
人生の航海図だなあ・・。
人生の航海図 まだまだこれからかなあ・・
後悔したくない航海がいい。笑。

フランドル生まれですよね メルカトルさんは。。
そういうことも学んだっけなあ・・懐かしい。
こうしてみると 結構いろんなこと覚えてるものだなあ・・

消えそうな灯でも 照らされている間はメルカトル図法あるんですよね
これ読むと 一歩足が 運ばれる想いです。笑。

Commented by hannah5 at 2005-02-14 13:17
*raichi mixさんもなかなか博学ですね。
後悔したくなくても後悔してしまうのが人生ですね。
これも、不思議なこと、かしら。

人生って、どきん、どきんの連続でしょう?
ksksk312さんの詩を読むと、人生にはどきんとすることが
いくつも転がっているんだと教えられます。

ところで、raichi mixさんのところからは、この詩がちゃんと読めますか?
Commented by raichi mix at 2005-02-14 14:57 x
ええ 見えますとも 見えますとも~!笑。
背景も かわいい花柄になりましたね。笑。
私は デルコンピューターでウインドウズです。
マックの方へのフォローも 心配りがあって感心です。笑。

それから 後悔しても後悔してないんですよ~私。
航海図ありても 後悔せ図?なんちゃって・・笑。
親父ギャグでした~笑。
Commented by ksksk312 at 2005-02-14 22:33
raichi mix様
「地上の歩き方」の作者(ksksk)です。
長々とした拙作をお読みいただき、感謝です。
メルカトルって、人の名前だったのですね...。
知りませんでしたっ! 
地理クラブ、というのは実はフィクションなのです。
失礼しました。。
Commented by ksksk312 at 2005-02-14 22:40
hannah5様
拙作をご紹介いただき、ありがとうございました。
嫌になるくらい寡作な男ですが(笑)、
これからもちまちま書いていきますね。
Commented by hannah5 at 2005-02-15 01:02
*raichi mixさん、あぁ、よかった (ホッ!)
ははは^^ 親父ギャグ歓迎ですぅ(笑)
今日はこちらは一段と春の陽気になりましたので
一気に春のスキンに変えちゃいました^^
これから雪が降っても、もう春になってます♪
Commented by hannah5 at 2005-02-15 01:33
*ksksk312さん、寡作でも、ひとつひとつがとてもいいです。
私は時々、ksksk312さんの作品を読んで反省するのです。
詩は決して書き殴ってはいけないとね。
私のはどちらかというとインスピレーションで、ぱぱっと書くことが多いのですが、
ksksk312さんの作品は丁寧に静かに作られていて
そんな詩を読むと、人目を気にせずにきちんと書くことこそ、
正しいのだと思います。
これからも楽しみにしていますよ。
Commented by raichi mix at 2005-02-15 22:22 x
はいはあい 喜んでいただけて嬉しいですよ。
ハンナさあん これからも 期待してますから!
じゃんじゃん 詩 作ってね!笑
これからも よろしくで~す 笑
Commented by hannah5 at 2005-02-15 22:40
*raichi mixさん、ありがとう♪

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