詩と思想   


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詩と思想1・2月号の「2013ベスト・コレクション」に拙作「そろそろねぐらに帰ります」を掲載していただきました。この作品は詩集『あ、』に収めた作品です。



そろそろねぐらに帰ります


ゆっくり歩いていると
早く行けと言う
走りだすと
止まれユーターンしろと言う
引き返すと
ダメじゃないか右へ曲がれと言う
たぶん今度も怒られるから左へ曲がるよ
するとどこからともなくぶぉぶぉっという音がしたかと思ったら
上下斜め左右そこらじゅうから声が吹き出してくる
そうなんだよそうなんだよと反応していると
いちいち反応するなと言う
黙っていると
少しは言葉をしゃべろと言う
ひと言ふた言しゃべると
そんな寡黙でどうする今は多弁の時代だと言う
少ししゃべりすぎではありませんかと言うと
いやもっと長くしゃべろと言う
思いつくまま流していると
言葉は簡潔に短い方がいいと言う
そうですねと短く言うと
いつになったらお前は納得するんだと言う

少々退屈していたからあちこち駆け回ってきたが
錯綜と混乱が混ざり合ってそろそろ時間切れだ
もう帰るよと言うと
お前の家はどこなんだと聞く
ここをまっすぐ行くと右に折れる道があるから道なりにしばらく行くと三叉路になっているので真ん中の道を行くと突き当たりになるから左に曲がり一つ目を右に行くとぼんやりした空き地があってそれを突っ切ってさらに進み家が一軒見えてきたらまっすぐ進んで家の反対側まで行くと庭があって小さな灯りが灯っているのでそこで小さくぶぉぶぉっと言うのが玄関のチャイム代わりでそれが私への合図になりますと言うと
相変わらずわかりにくいやつだなそれでどうするんだと聞く
帰る支度をしますと言うと
どこへ行くんだと聞く
長すぎず短すぎず早すぎず遅すぎず右にも左にもそれず寡黙にもならず饒舌でもなく理解と納得が交差したあたりです
と答えておいた
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by hannah5 | 2013-12-30 17:37 | 投稿・同人誌など | Comments(0)

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