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日本の詩を読む XII 第2回 ~西脇順三郎へのアプローチ~   


西脇順三郎の2回目の講義が1月5日(月)に行われました。今回のテーマは「『Ambarvaria』の衝撃」です。ambarvariaはギリシャ語で「穀物祭」とか「祝祭」という意味だそうです。『Ambarvaria』(1933)は2部に分かれていて、第1部は「Le Monde Ancien」(古代世界)、第2部は「Le Monde Moderne」(近代世界)となっています。西脇のわからなさは第1部より、主に第2部の散文詩にあるようです。私自身第1部には感嘆した作品が多かったのですが、第2部になると何を言っているのかさっぱりわからなくなって、読んでいるうちに眠ってしまうことも多々ありました。教室で野村喜和夫さんがいろいろ説明されたので、やっとなんとなく意味をとらえることができました。今回読んだ作品は「Le Monde Ancien」から「ギリシャ的抒情詩」(「天気」、「カプリの牧人」、「雨」、「太陽」、「眼」、「皿」)、「Le Monde Moderne」から「内面的に深き日記」、『あむばるわりあ』(1946)から「雨」と「眼」でした。


天気

(覆された宝石)のような朝
何人も戸口にて誰かとささやく
それは神の生誕の日



カプリの牧人

春の朝でも
我がシシリヤのパイプは秋の音がする
幾千年の思いをたどり





南風は柔い女神をもたらした
青銅をぬらした 噴水をぬらした
ツバメの羽と黄金の毛をぬらした
潮をぬらし 砂をぬらし 魚をぬらした
静かに寺院と風呂場と劇場をぬらした
この静かな柔い女神の行列が
私の舌をぬらした

by hannah5 | 2015-01-06 19:42 | 詩のイベント

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