日本の詩祭2015 ― いま同じ時代を生きて詩を語る ―   


6月7日、日本現代詩人会の主催で「いま同じ時代を生きて詩を語る」と題して、日本の詩祭2015が行われました(於ホテル メトロポリタン エドモント)。第一部ではH氏賞と現代詩人賞の選考経過報告と受賞、先達詩人の顕彰がありました。今年のH氏賞は岡本啓さんの『グラフィティ』、現代詩人賞は八木忠栄さんの『雪、おんおん』が受賞しました。また、石川逸子さん、岡崎純さん、新藤涼子さん、安水稔和さんが先達詩人として顕彰されました。第二部では芥川賞作家、パンクロック歌手、俳優、朔太郎賞受賞の詩人という多彩な顔をもつ町田康さんの対談と、朗読隊による中也の詩の朗読、中也の詩に町田康さんが言葉を寄せる(町田さんはこれを 『残響』 と名付けられています)などが行われました。町田康さんの自然体のトーク、中也の詩にコラボした言葉など、町田康さんを囲んでの第二部は非常に面白かったです。

【プログラム】

第一部

・ 開会のことば                   北畑光男

・ 第65回H氏賞贈呈
    選考経過報告                廿楽順治
    H氏賞贈呈                  財部鳥子
    受賞詩集『グラフィティ』について     石田瑞穂
    受賞のことば                 岡本啓

・ 第33回現代詩人賞贈呈
    選考経過報告                八木幹夫
    現代詩人賞贈呈               財部鳥子
    受賞詩集『雪、おんおん』について    中上哲夫
    受賞のことば                 八木忠栄

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受賞のことばを述べる八木忠栄さん

・ 先達詩人の顕彰 
    先達詩人への敬意・記念品贈呈     財部鳥子
    先達詩人のことば              石川逸子、岡崎純、新藤涼子、安水稔和

・ 詩の朗読
    H氏賞受賞詩集『グラフィティ』      岡本啓
    現代詩人賞受賞詩集『雪、おんおん』 八木忠栄

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受賞詩集を朗読する岡本啓さん


第二部

・ 対談   町田康「現代詩をぶっとばせ!」(聞き手 山田兼士)

・ 朗読会  町田康、朗読隊

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中也の詩に言葉を寄せる町田康さん(左は朗読隊の峯澤典子さん)

・ 閉会のことば                   新延拳

総合司会新延拳
司会下川敬明、永方ゆか

(敬称略)






『残響』 からひとつ。



詩人は辛い

  中原中也

私はもう歌なぞ歌はない
誰が歌なぞ歌ふものか

みんな歌なぞ聴いてはゐない
聴いてるやうなふりだけはする

みんなたゞ冷たい心を持つてゐて
歌なぞどうだつたつてかまはないのだ

それなのに聴いてるやうなふりはする
そして盛んに拍手を送る

拍手を送るからもう一つ歌はうとすると
もう沢山といつた顔

私はもう歌なぞ歌はない
こんな御都合な世の中に歌なぞ歌はない



町田康

 仲間が集まる行きつけの飲み屋で、ちょちょろちょーろ、ちょちょろちょーろ、とか細く響いているのは私の音楽。苦労して作ったCDだ。なかなかによい出来だ、と思ったので行きつけの飲み屋に持っていき、カウンター越しに女の子に渡したのだ。うわー、うれしー。かけていいですかー。と言われて得意顔で、ああ、いいよ。と言った。仲間も顔見知りも、聴きたい聴きたい、なんつって俺ますます得意顔。
 けどいざかかったら。
 みなそれぞれの話に夢中で誰も聴いちゃいない。ちょちょろちょーろ。ちょちょろちょーろ。みんなの大声にかき消されてか細い曲を聴いているのは当の俺だけ。
 ここは表現に苦心したところ。ここはとてもうまくいったところ。
 誰も聴いていない自分の音楽に耳を澄ましている自分が情けなく、ついついがぶ飲み、立て続けに清酒をカップに六杯飲んで悪酔いして大暴れ。荒れてるな、と言われてますます荒れる。
 おまえらに俺の気持ちがわかってたまるか。俺の気持ちがわかってたまるか、と典型的なことをまた言って。
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by hannah5 | 2015-06-10 17:54 | 詩のイベント | Comments(0)

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