日本の詩を読む IX ~ 詩的アヴァンギャルドの100年 (第1回)   


野村喜和夫さんが講義される「日本の詩を読む」シリーズの9回目の授業が始まりました(教室は淑徳大学の池袋サテライトキャンパス)。今回は前衛詩を取り上げる予定で、題して「詩的アヴァンギャルドの100年」です。講義は全部で10回、11月2日に第1回目の講義がありました。この日は山村暮鳥の 『聖三稜玻璃(せいさんりょうはり)』 の作品が取り上げられました。アンドレ・ブルトンの 『シュールレアリズム宣言』 が出たのが1924年ですが、それよりはるか以前の1915年に、日本の暮鳥がシュールレアリズムに負けずとも劣らない詩を書いていたことに驚かされます。しかし、暮鳥の作品はあまりにも時代に先行していたため、世間からは理解されませんでした。



囈語(たはごと)


窃盗金魚
強盗喇叭(らっぱ)
恐喝胡弓(こきゅう)
賭博ねこ
詐欺更紗
瀆職天鵞絨(とくしょくびろうど)
姦淫林檎(かんいんりんご)
傷害雲雀(ひばり)
殺人ちゆりつぷ
堕胎陰影
騒擾(さうぜう)ゆき
放火まるめろ
誘拐かすてえら。

(暮鳥詩集 『聖三稜玻璃』 より)








山村 暮鳥(やまむら ぼちょう)

1884(明治17年) 群馬県西群馬郡棟高村に生れる
1902(明治35年) キリスト教受洗
1903(明治36年) 東京築地の聖三一神学校(現聖公会神学校)に入学
1908(明治41年) 聖公会伝道師となる
1910(明治43年) 山村暮鳥の名前で「航海の前夜」「月夜」など詩五編を発表
1915(大正4年) 『聖三稜玻璃』 を人魚詩社から刊行
1918(大正7年) 肋膜炎が悪化、喀血
1919(大正8年) 聖公会伝道師を休職
1924(大正13年)12月死去、享年40。

詩集 『三人の処女』 『風は草木にささやいた』 『梢の巣にて』、詩選集 『穀粒』、長編 『十字架』、童謡童話集 『万物の世界』、長編童話 『鉄の靴』、随筆集 『地佐奈穀倉より』、評伝 『ドストエフスキー』、『ドストエフスキー書簡集』、『山村暮鳥全集』 など。
( 『日本の詩 第6巻 木下杢太郎・日夏耿之介・山村暮鳥集』 (集英社)よりコピー抜粋)



【これからの講義予定】

第1回 暮鳥と朔太郎と人魚詩社 ①
第2回 暮鳥と朔太郎と人魚詩社 ②
第3回 新傾向の渦
第4回 西脇順三郎とその仲間たち
第5回 シニフィアンの閾
第6回 シュールレアリズムの冒険
第7回 入沢康夫あるいは詩の脱構築
第8回 谷川俊太郎あるいは日本語のレッスン
第9回 吉増剛造あるいは未聞の翻訳空間
第10回 詩的実験の現在
[PR]

by hannah5 | 2015-11-10 16:13 | 詩のイベント | Comments(0)

<< 「言葉の旅・詩の岸部へ」-石田... 連続講座「大岡信の詩と真実」 5 >>