譚詩舎文学サロン~新しい詩への夢―立原道造・「風立ちぬ」からの旅立ち~   


毎年恒例の譚詩舎による立原道造関連の催しが12月5日(土)東京芸術劇場で行われました。今回のプログラムは立原道造が堀辰夫の「風立ちぬ」に決別した部分に焦点を当て、立原道造の研究者名木橋忠大さんの講演と、吉田文憲さん、野村喜和夫さん、名木橋さんの3人による座談会、渡辺文子さによる詩の朗読でした。今回私にとって特に新しい発見はありませんでしたが、名木橋さんが道造の年譜に沿い、その月/年に発表された作品を基に、道造が傾倒していた堀辰夫の「風立ちぬ」からどこへ出発しようとしていたのか、それにもかかわらず最終的にはどこへも行かず安定した場所に落ち着こうとしたのはなぜなのかについて、詳細な解説をされたのが大変印象的でした。名木橋さんの講演を聴いていて思ったのは、昔立原道造に心酔して道造の詩をノートに書き写していた頃の自分の読み方は偏っていて、浅かったということでした。座談会は吉田さんと野村さんと名木橋さんがそれぞれの見解をぶつけ合い、それらが交錯したり同一歩調を取ったりして、こちらも楽しく拝聴しました。最後は渡辺文子さんの朗読によってプログラムは締めくくられました。渡辺さんの朗読はすばらしかったですが、道造の詩は黙読した方がよいのではないか―道造の詩に深い思いを寄せた者として、朗読がすばらしければすばらしいほどどこかに違和感を感じていたことも否めませんでした。


【プログラム】

新しい詩への夢―立原道造・「風立ちぬ」からの旅立ち

1. 挨拶     布川鴇
2. 講演     名木橋忠大(中央大学特任教授)
3. 座談会    吉田文憲、野村喜和夫、名木橋忠大

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左から吉田文憲さん、野村喜和夫さん、名木橋忠大さん

4. 詩の朗読  渡辺文子
    「夢みたものは・・・・・」
    「小譚詩」
    「この闇のなかで」
    「唄」
(敬称略)







【出演者プロフィール】

名木橋忠大(なぎはしただひろ)
山形県生れ。詩人、中央大学特任准教授。主な著書に 『立原道造の詩学』、『立原道造新論』 など。2005年、早稲田大学窪田空穂賞受賞。

吉田文憲(よしだふみのり)
秋田県生れ。詩人、文藝評論家。詩集に 『衰弱』、『原子野』 (晩翠賞)、『六月の光、九月の椅子』 (山本健吉文学賞)、『生誕』 (高見順賞)。評論 『宮澤賢治―幻の郵便脚夫を求めて』、2011年、宮澤賢治賞受賞。

野村喜和夫(のむらきわお)
埼玉県生れ。詩人、文藝評論家。詩集に 『特性のない陽のもとに』 (歴程新鋭賞)、『風の配分』 (高見順賞)、『ニューインスピレーション』 (現代詩花椿賞)、『移動と律動と眩暈と』 (鮎川信夫賞)、英訳詩集 『スペクタクルそして豚小屋』 (藤村記念歴程賞)、評論 『証言と抒情―詩人石原吉郎と私たち』 (2015)など。

渡辺文子(わたなべあやこ)
武蔵野音楽大学音楽学部声楽科卒、同大学院修了。日本オペラ振興会オペラ歌手育成部第25期終了。《ドン・ジョヴァンニ》 ドンナ・アンナ・ツェルリーナ、《修道女アンジェリカ》 アンジェリカ、《椿姫》 ヴィオレッタで出演。岐阜オペラ 《ひかりのゆりかご》 静、首都オペラ 《アラベラ》 ズデンカで出演。藤原歌劇団、群馬オペラ協会所属。

(プロフィールは会場で配布された資料よりコピー抜粋)
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by hannah5 | 2015-12-11 21:50 | 詩のイベント | Comments(0)

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