日本詩人クラブ新人賞   


第26回日本詩人クラブ新人賞に、喜和堂の同人颯木あやこさんの 『七番目の鉱石』 が受賞しました。9日(土)はその授賞式でした(於東京大学駒場キャンパス21 KOMCEEレクチャーホール)。『七番目の鉱石』は颯木さんの3冊目の詩集です。詩集をいただいたお礼のはがきに、こんなことを書きました。「この詩集は本当に鉱石のようだと、最初に通読した時に思いました。鉱石のように固く、磨いていくとやがて美しい宝石になる。たった一つの原石から、やがて美しく輝いて、人を魅きつける宝石になることへの確信に近い願望・・・(中略)・・・ひりひりするような孤独と痛み、それでも見失うまいとする希望と光。」前の2冊の詩集は読んでいないのですが、本の栞や祝辞を述べられた人たちの言葉から、『七番目の鉱石』が完成度の高い詩集に仕上がっているという印象をもちました。颯木さん、受賞おめでとうございます。これからも颯木さんの作品を楽しみにしています。

新人賞の他に日本詩人クラブ賞の贈呈もあり、林嗣夫さんの 『そのようにして』 が受賞しました。(颯木さんの後ろに座っている方が林嗣夫さんです。)詩人クラブのもうひとつの賞である詩界賞は該当者がいませんでした。


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作品を朗読する颯木あやこさん




雨だれ

   颯木あやこ詩集 『七番目の鉱石』 より

黒豹だ

きっと雌だ

いま 屋根に爪先で着地した
ひとあし ひとあし歩き回り
(大きく育ったマグノリアの花を貪り)

天井の下 わたしは
毛布をかぶり直し
その 爪の先端から放たれる
ぬれぬれとした光から 身を守る
身を

黒豹
   窓を
     かすめ

爪の光に穿たれて
全身 孔だらけ 灰色の蜜 噴き出し
寝床に染みだけ残して
消え去ってもよい
こんな夜に

わたしの幻影が
月にさえ背を向けて
道のカーヴの奥行きへ
吸いこまれてゆくのを見た と
青に近いほど白い影だった と

ひとり 蟋蟀のような男が
秋に呟いてくれればそれでよいのに

黒豹は
土砂降り
捨て子となって
流れてゆく





【贈呈式式次第】

1. 開会の言葉                           太田雅孝

2. 会長挨拶                             武子和幸

3. 経過報告                             村尾イミ子

4. 選考経過
   第49回日本詩人クラブ賞                  硲杏子
   第26回日本詩人クラブ新人賞               根本明
   第16回日本詩人クラブ詩界賞(該当者なし)       三田洋

5. 賞の贈呈
   第49回日本詩人クラブ賞 詩集『そのようにして』    林嗣夫
   第26回日本詩人クラブ新人賞 詩集『七番目の鉱石』 颯木あやこ

6. 受賞者の紹介
   林嗣夫氏について                        石川逸子
   颯木あやこ氏について                      葛原りょう

7. 受賞詩集から試作品朗読
   詩集『そのようにして』から                   林嗣夫
   詩集『七番目の鉱石』から                   颯木あやこ

8. 花束贈呈

9. 受賞者挨拶
   第49回日本詩人クラブ賞                   林嗣夫
   第26回日本詩人クラブ新人賞                颯木あやこ

10. 閉会の言葉                           細野豊
    (敬称略)



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by hannah5 | 2016-04-12 20:38 | 詩のイベント | Comments(0)

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