日本の詩を読む X ~ 四季派の時代(第7回)   


「四季派の時代」の最終講義は伊藤静雄についてでした(講義のタイトルは「「コギト」と伊藤静雄」)(7/11)。堀口大学の 『月下の一群』、上田敏の 『海潮音』、永井荷風の 『珊瑚集』 など、日本の近代詩は西洋の詩、特にフランス文学の詩を学ぶことから始まりましたが、伊藤静雄はドイツのヘルダーリンから強い影響を受けたと言われています。20代半ばで抒情詩の同人誌「コギト」に参加、伊藤静雄の詩の難解さ、日本浪漫派への参加、第一詩集 『わがひとに与ふる哀歌』 が萩原朔太郎から絶賛されたことなどが講義の中心でした。読んだ作品は詩集 『わがひとに与ふる哀歌』 から「晴れた日に」、「曠野の歌」、「わがひとに与ふる哀歌」、「水中花」、「春の雪」、大岡信の「抒情の行方 伊藤静雄と三好達治」(一部)、萩原朔太郎の「わがひとに與ふる哀歌 伊藤静雄の詩について」でした。



わがひとに与ふる哀歌


太陽は美しく輝き
あるひは 太陽の美しく輝くことを希(ねが)ひ
手をかたくくみあはせ
しづかに私たちは歩いて行った
かく誘ふものの何であらうとも
私たちの内の
誘はるる清らかさを私は信ずる
無縁のひとはたとへ
鳥々は恒(つね)に変らず鳴き
草木の囁きは時をわかたずとするとも
いま私たちは聴く
私たちの意志の姿勢で
それらの無辺な広大の賛歌を
あゝ わがひと
輝くこの日光の中に忍びこんでゐる
音なき空虚を
歴然と見わくる目の発明の
何にならう
如(し)かない 人気ない山に上り
切に希はれた太陽をして
殆ど死した湖の一面に遍照さするのに




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by hannah5 | 2016-07-15 22:54 | 詩のイベント | Comments(0)

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