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ジャカランダが咲くころ   


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海を隔て
何千マイルも離れた異郷の地で
いつしか見慣れていった街の風景や
ほほえみあった人々の顔や
馴染んだ学舎(まなびや)のせわしないカリキュラムが
怒涛のように今日の私に押し寄せる
それは確かに私の生活だったが
故郷で忙しくしている間に
いつの間にか記憶の中からこぼれてしまった

人々はあの日と変わることなく
親切で優しい友人のようだけれど
会わなかった間に少しだけ
大人になったり
シャイになったり
病気がちになったり
それから語ることもなくしてしまったりしていた

ジャカランダがまた満開になった
紫色の甘い香りが歩道に降り積もり
街の中に佇み
ひとしきり人々を酔わせてしまう

私たちは出会い
一時心を溶かし合いながら
また一時別れのしたくをし
惜しみながら遠くに離れ去る

ジャカランダが満開になって
あの時と変わらぬ甘い香りが満ちる頃
人々はそんなふうに親しみ合い
そんなふうに別れて行く


(6.9.2005)

by hannah5 | 2005-06-15 02:41 | アメリカ時代(2004-2005)

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