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デジタル人間   


私はデジタル人間だ
一つの仕事からもう一つの仕事へと
きっちりと区分けをして進む
それはまるで階段を上るようだ
一段上ったら下の段はもうない
また一段上ったら今までの段はもうない
一つ一つがくっきり区切られる
泣く時も心が千切れるほど大泣きに泣いて
涙が絞り切れるともう泣かない
それまでどれほど悲しくても
泣くだけ泣いたらすっきり気分が晴れて
カリフォルニアの青空のようになる
それであとは笑って過ごせる
泣いたことなどなかったかのようだ

私の周りにはアナログ人間が多い
というよりも デジタル回路の人間は
アナログ回路に魅力を感じるらしい
母は典型的なアナログ人間
やたらに切れたり感情が裏返ったりしない
悲しい時は
悲しみがいつまでもそこはかとなくよどんでいる
もう悲しみは忘れたらいいのに
時々そう思う
親友も典型的なアナログ人間
同じ感情がいつもそこに漂っている
仲良くなる人は大抵アナログ人間
気分は私のように階段を上らない
アナログ回路の人達は
デジタル人間の心の動きがわかるらしい
一段づつ階段を上るデジタル人間には
アナログ人間の心の動きがまことに羨ましく
なんだかとても上等な精神をもっているように思える
それで時々アナログになってみたりするけれど
どこかぎこちない

いいさ デジタルはそのままデジタルで
所詮アナログにはなれません
アナログがまだ悲しんでいる時に
青空気分になったデジタルが
慰めてあげられるかもしれないしね

by hannah5 | 2004-09-19 08:49 | 作品(2004-2008)

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