畑へ行く道
2004年 09月 23日
山の秋
表の庭の横をまっすく行くと
下の畑に通じる道がある
雑草の生い茂った小さな道を
どんどん下りて行くと
下の方に小さな畑があって
子供だった私は
何の用もないのに上ったり下りたりした
畑のすぐそばを小川が流れていて
向かいに大きな萱葺きの家があった
若い人形使いの夫婦が
玄米を食べながら暮らしていた
ある時 おじと二人で
その人形使いの夫婦の家へ遊びに行き
人形の話や炭焼きの話を
おじと若い夫婦が楽しそうに話すのを聞いていたことがある
表の庭から向こうの山めがけて
やっほー。。。と叫ぶと
山彦が返ってきた
春になると
あの山にはたけのこが出て
勝手に掘り出して怒られたりした
たけのこが誰かの所有物だと知ったのはその時だ
秋にはコスモスがいっぱい咲くのよ
懐かしそうに母は言う
おじ夫婦は牛を飼っていたことがあった
夏になると蛍がたくさん飛んだ
畑の周りの給水講には小さな雨蛙がたくさんいた
よく見るとたにしがいて
珍しいから 私はきょろきょろして歩き回った
母から繰り返し聞かされた昔の丹波の話は
いつも上の空で聞いていた
人生も残り少なくなりつつある母が
ことあるごとに懐かしんだ丹波が
こんな風景を見ると
たまらなく懐かしく
哀しくなる
by hannah5 | 2004-09-23 08:26 | 作品(2004-2008)