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畑へ行く道   


山の秋

表の庭の横をまっすく行くと
下の畑に通じる道がある
雑草の生い茂った小さな道を
どんどん下りて行くと
下の方に小さな畑があって
子供だった私は
何の用もないのに上ったり下りたりした

畑のすぐそばを小川が流れていて
向かいに大きな萱葺きの家があった
若い人形使いの夫婦が
玄米を食べながら暮らしていた

ある時 おじと二人で
その人形使いの夫婦の家へ遊びに行き
人形の話や炭焼きの話を
おじと若い夫婦が楽しそうに話すのを聞いていたことがある

表の庭から向こうの山めがけて
やっほー。。。と叫ぶと
山彦が返ってきた
春になると
あの山にはたけのこが出て
勝手に掘り出して怒られたりした
たけのこが誰かの所有物だと知ったのはその時だ

秋にはコスモスがいっぱい咲くのよ
懐かしそうに母は言う

おじ夫婦は牛を飼っていたことがあった
夏になると蛍がたくさん飛んだ
畑の周りの給水講には小さな雨蛙がたくさんいた
よく見るとたにしがいて
珍しいから 私はきょろきょろして歩き回った

母から繰り返し聞かされた昔の丹波の話は
いつも上の空で聞いていた
人生も残り少なくなりつつある母が
ことあるごとに懐かしんだ丹波が
こんな風景を見ると
たまらなく懐かしく
哀しくなる

by hannah5 | 2004-09-23 08:26 | 作品(2004-2008)

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