私の好きな詩・言葉(49) 「雅歌1章 - ソロモンの雅歌」   


あの方が私に
口づけしてくださったらよいのに。
あなたの愛はぶどう酒よりも快く、
あなたの香油のかおりはかぐわしく、
あなたの名は注がれる香油のよう。
それで、おとめらはあなたを愛しています。

私を引き寄せてください。
私たちはあなたのあとから急いでまいります。
王は私を奥の間に連れて行かれました。
私たちはあなたによって楽しみ喜び、
あなたの愛をぶどう酒にまさってほめたたえ、
真心からあなたを愛しています。

エルサレムの娘たち。
私はケダルの天幕のように、
ソロモンの幕のように、
黒いけれども美しい。
私をご覧にならないでください。
私は日に焼けて、黒いのです。

私の母の子らが私に向かっていきりたち、
私をぶどう畑の見張りに立てたのです。
しかし、私は自分のぶどう畑は
見張りませんでした。
私の愛している人。どうか教えてください。
どこで羊を飼い、
昼の間は、どこでそれを休ませるのですか。
あなたの仲間の群れのかたわらで、
私はなぜ、
顔おおいをつけた女のようにしていなければ
ならないのでしょう。

女のなかで最も美しい人よ。
あなたがこれを知らないのなら、
羊の群れの足跡について行き、
羊飼いの住まいのかたわらで、
あなたの子やぎを飼いなさい。

わが愛する者よ。私はあなたと
パロの戦車の雌馬になぞらえよう。
あなたの頬には飾り輪がつき、
首には宝石をちりばめた
首飾りがつけてあって、美しい。
私たちは銀をちりばめた金の飾り輪を
あなたのために作ろう。

王がうたげの座についておられる間、
私のナルドのかおりを放ちました。
私の愛する方は、私にとっては、
この乳房の間に宿る没薬(もつやく)の袋のようです。
私の愛する方は、私にとっては、
エン・ゲディのぶどう畑にある
ヘンナ樹の花ぶさのようです。

ああ、わが愛する者。
あなたはなんと美しいことよ。
なんと美しいことよ。あなたの目は鳩のようだ。

私の愛する方。
あなたはなんと美しく、慕わしい方でしょう。
私たちの長いいすは青々としています。
私たちの家の梁(はり)は杉の木、
そのたるきは糸杉です。

(旧約聖書『雅歌1章』(新改訳)より)



解説

『雅歌』 は詩篇と並んで、旧約聖書の中で「詩歌書」(詩歌書はヨブ記、詩篇、箴言、伝道者の書、雅歌の五書)と呼ばれる書である。聖書の中でも特異な書で、男女(ソロモンとシュラムの女)の愛の賛歌が歌われているが、神の名も信仰についての話も一度も出てこない。そのため、古来より多くの解釈がされてきたが、今だに学者間で統一的な見解がなされていない。また、『雅歌』 の作者は伝統的にソロモンとされているが、ソロモンが作者であることを否定する学者も多い。

『雅歌』 については以下のような解釈がなされている。

(1) ユダヤ人の比ゆ的解釈。ソロモンとシュラムの女の間の愛には隠された意味がある。それは、神とイスラエルの間にある愛である。

(2) キリスト教会の霊的解釈。エペソ5章にはキリストと教会の関係が夫婦のそれにたとえられているが、ソロモンとシュラムの女の間の愛も、キリストと教会の関係にほかならない。

(3) 劇詩説。本書は、ソロモンとシュラムの女を主要な人物とした劇詩の脚本である。しかし、この説も主要な登場人物をソロモンと羊飼いの娘の二人とするか、ソロモン、羊飼いの娘、娘の恋人である羊飼いの若者とするかで意見が分かれる。二人説の場合は、ソロモン王がシュラムの娘を一目見て恋に陥り、宮廷に連れて行くという筋書きになる。三人説の場合は、シュラムの娘がソロモン王の誘惑にもかかわらず、羊飼いの恋人の若者への愛を貫き通すということになる。

(4) その他。当時流行していた世俗の恋愛詩を収集したもの、あるいは、婚礼の際に歌われた歌を集めたもの、あるいは、ソロモンが自分の妻のために作った歌集など、さまざまな解釈がある。

しかし、一般的には 『雅歌』 は男女間の愛の歌と見るのが妥当であろう。同時に、本書の中にキリストと教会の関係を見ることも可能である。(新改訳聖書「雅歌-緒論」より)

男女の愛の告白、愛する人への熱い想い、眩暈のような高揚、そして愛するが故の不安。その純粋さの故にどんな恋愛の本より熱い想いが伝わってくる。

『雅歌』 全篇を覆う愛する人への甘く美しい賛美。男女の愛の交歓は何にもまして美しく、詩的であり、生命への賛歌であろう。

   私はシャロンのサフラン、
   谷のゆりの花。

   わが愛する者が娘たちの間にいるのは、
   いばらの中のゆりの花のようだ。

   私の愛する方が
   若者たちの間におられるのは、
   林の木の中のりんごの木のようです。
   私はその陰にすわりたいと切に望みました。
   その実は私の口に甘いのです。
                  (雅歌2章1節ー3節)
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by hannah5 | 2005-08-21 18:10 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(2)

Commented at 2005-08-22 01:53
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by hannah5 at 2005-08-22 12:12
*鍵さん、コメントありがとうございます。
その件につきましては、当日お話いたしましょう。

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