私の好きな詩・言葉(60) 「関白宣言」 (さだまさし)   


お前を嫁にもらう前に
言っておきたい事がある
かなりきびしい話もするが
俺の本音を聴いておけ
俺より先に寝てはいけない
俺より後に起きてもいけない
めしは上手く作れ いつもきれいでいろ
出来る範囲で構わないから
忘れてくれるな 仕事も出来ない男に
家庭を守れるはずなどないってこと
お前はお前にしか できない事もあるから
それ以外は口出しせず
黙って俺についてこい

お前の親と俺の親とどちらも
同じだ大切にしろ
姑小姑かしこくこなせ たやすいはずだ
愛すればいい
人の陰口言うな聞くな それからつまらぬ
シットはするな
俺は浮気はしない たぶんしないと思う
しないんじゃないかな
ま、ちょっと覚悟はしておけ
幸福は二人で育てるもので
どちらかが苦労して
つくろうものではないはず
お前は俺の処へ 家を捨てて来るのだから
帰る場所は無いと思え
これから俺がお前の家

子供が育って年をとったら
俺より先に死んではいけない
例えばわずか一日でもいい
俺より早く逝ってはいけない
何もいらない 俺の手を握り
涙のしずく ふたつ以上こぼせ
お前のお陰で いい人生だったと
俺が言うから 必ず言うから
忘れてくれるな 俺の愛する女は
愛する女は生涯お前ひとり
忘れてくれるな 俺の愛する女は
愛する女は生涯お前 ただ一人


(新潮文庫 『さだまさし 時のほとりで』 より)




解説

面白いものを地元の図書館で拾いました。さだまさしの昔の歌詞を本にした 『さだまさし 時のほとりで』 (新潮文庫)(昭和55年刊)(自選による代表作54編とエッセイと写真)で、図書館の無料コーナーにありました。一世を風靡したさだまさしにそれほど興味があったわけではありませんが、パラパラとページをめくるうちに、さだまさしという人は抒情的な世界を描くのにかなり才長けた人であると思いました。「精霊流し」「雨宿り」「檸檬」「無縁坂」「防人の詩」など馴染みのある詞が並んでいます。曲なしで文字だけ追うのも面白いと思いました。

その中でも「関白宣言」は出た当時、かなりの社会現象になってしまったようです。
「昭和54年の、ついに社会現象になってしまったこの唄。女性蔑視論に始まって軟弱男のつぶやき論に至る迄、凡そ音楽と異なった次元での評論に終始しました。何人かの浅薄社会評論家の馬脚を現す事となり、単純な男性酔払いの絶好の応援歌となり、つまりは「宣言」ブームとなり。」(さだまさしのあとがきのエッセイ)

何度も「あなたはプロポーズする際に、歌詞の通りに言うのですか?」と聞かれた時の彼の答えがふるっています。
「歌だから言葉にせざるを得ないのです。実際には、口が裂けても言いません。わしゃ九州男児ですけん」
「当然の事を言って何が悪い!!」
「これで女性蔑視とは、大和撫子の質も落ちたもんです」
「これは真のラブ・ソングです」
「妹が嫁に行く時には、この通り(二番迄は)言ってやります。この程度覚悟しとけば、女は却って楽でしょうから」
「黙っていてもこの程度の事、当たり前だと思っている女を嫁にします」

そして、最後にこうありました。「ただひたすら、これを歌として受け止めてくれた、95%の人々に、ありがとうございます。」

歌詞とさだまさし本人の解説と両方合わせて読んで、こんなふうに割り切って言う男性もなかなかいいと、思わず納得してしまった次第であります。(笑)


さだまさし

1952年、長崎県に生まれる。本名、佐田雅志。
シンガー・ソング・ライター。数々の音楽大賞受賞。現在もソロとして精力的に活躍中。
さだまさしオフィシャル・サイトはこちら
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by hannah5 | 2005-11-21 00:22 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(14)

Commented by BlueInTheFace at 2005-11-21 01:33
さだまさしキタ━━━(・∀・)━━━!!!!!!
さだまさし全盛期をリアルタイムでは体験してないにも関わらず、まさしの魅力にすっかり取り付かれている今日この頃の僕です。

やはりまさしはシンガーソングライターですから、メロディと詩の両方が奏でて出来上がる曲の世界を楽しみたいですよね。しかしはんなさんのようにこうやって詩だけを取り出してみるというのも、また違った新鮮な印象を受けます。

平成の現代においては“あり得ない”歌詞ですから、逆にそれが新鮮に映るのかもしれませんね。
Commented by aki at 2005-11-21 09:38 x
 拾い物、いいですね。さだまさしさん、私にも最近迫ってきます。切れ味と愛がいいですね。強引を装ったおとこの不器用な愛の告白。
Commented by difamy at 2005-11-21 13:15 x
はんなさんが、この歌に反応するとは思いませんでした。
明らかに日本の古典的な夫婦間に限っての話しで、
海外生活を経験された現代人には、真意が伝わりにくい歌だと思います。
この歌を聴いて、どのように反応するかで、その女性の男性への考え方も分かりますね(笑)
Commented by sofia_ss at 2005-11-21 17:21
この歌が世に出たとき、私は17歳でした。そのときの日記に
「わざわざ“宣言”しなくてはならない弱さ」と書いてあります。
なんちゅうかこの頃から、殿方の可愛さがわかってたのでしょうか・・

Commented by bucmacoto at 2005-11-21 20:31
関白宣言 → 関白失脚 (笑)
雨やどり > あまどりや (左記の自己パロディ)
なつかしや~

精霊流し を友達に付き合ってギター練習した世代です。
 ↑ これって 「しょうろうながし」 で、変換できなかった (ノ_;。)
ちなみに、最初に読んだ時は ひょうろうながし と読みました。。。ww
Commented by 寝太郎 at 2005-11-21 22:16 x
 ちょっと、僕にはまだわかんないですね~。

 まだまだ、青いってことでしょうか。(笑)

 深津絵里さんが脅威のぶりっ子役で主演していたドラマで、よくかかっていたのが印象的でした。
Commented by hannah5 at 2005-11-21 23:41
*ミツさん、はは、きましたよ~(笑)
それにしても、さだまさしはいつまでも第一線で活躍するシンガーソングライターですね。
関白宣言は作り話とわかっていても、あえてそれを歌にしたところが潔くて好きです。
Commented by hannah5 at 2005-11-21 23:43
*aki さん、はい、拾い物っていいです^^
けっこう男性はこんなふうに言ってみたいんじゃないでしょうか?(笑)
Commented by hannah5 at 2005-11-21 23:51
*difamy さん、さて、私の男性への考え方ってどんなのでしょうか?(笑)
この歌、痛快でしょう?
でも、ここまで言い切れる男性っていないですよね?
でも、言えたらすごいと思います。
そして、ここまで言えたら、その男性について行ってもいいかなと思います。
ていうか、勢いに呑まれて、ついハイ!と言ってしまいそうです(笑)
それと、私の中にはこういう男性に三つ指をついている部分があります(笑)
Commented by hannah5 at 2005-11-21 23:54
*そふぃ、おぉ、なんというコワイ17歳よ!(笑)
そふぃにとって男性は手のひらの上に乗っけるものでしょうか?(笑)
Commented by hannah5 at 2005-11-21 23:59
*まことさん、ははは^^ ひょうろうながしですか~
うん、「しょうろう」では変換できませんね。
今時、関白になりきれる人はいないと思いますから、失脚した男性はいないと思いますよ。
Commented by hannah5 at 2005-11-22 00:03
*寝太郎さん、さだまさしと寝太郎さんとでは、宇宙人と地球人くらいの差があるでしょうね。
わからなくて当然だと思います。
ま、いまどきこんなふうに思っている男性はいないでしょうし、女性の方も
期待していないどころか、思いつかないと思いますよ。
でも、案外男性の本音じゃないでしょうか。
Commented by satsuki_ok at 2005-11-22 01:12
いい歌だなあ。。。ぼそっ
Commented by hannah5 at 2005-11-22 01:21
*サツキさん、いい歌でしょ?

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