ふるさと
2006年 01月 29日
考えてみれば
生まれてからこのかた
灰色のコンクリートばかり見て暮らしてきた
草や木が大地に根を張り
空に枝が伸びていくことなんて
ほとんど関心がなくて
代わりに
コンクリートが地面をすっぽり覆い
コンクリートが軒を接して建てられていて
鬼ごっこもかくれんぼもコンクリートの中でやった
初めて出てきた田舎の叔父さんが
「コンクリートの道を歩くと脳天に響いてかなわん」
と言ったことがある
それでも
私にとってコンクリートはやっぱりふるさとだ
山や川や自然のあふれる所から帰ってきても
新宿の高層ビルを見るとほっとする
都心の真ん中を高速道路が突っ切っているのを見ると
自分の住み処に帰ってきたと思う
コンクリートにはお国なまりものんびりした時間もないけれど
コンクリートが作り出す空間には
無機質な美しさと未来の叡智がある
打ちっぱなしのコンクリートでやるライブはいいし
適当にオブジェを置くと
レストランにもカットサロンにもなる
コンクリートを見ていると
未来に向って確実に前進していると
いつも思う
by hannah5 | 2006-01-29 23:52 | 作品(2004-2008)