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夏の午後   


急に蝉が鳴き出した
今までどこにしまってあったのだろう
というくらい いくつもいくつも
木の中から湧き出してくる

みぃん みんみんみんみん
みぃん みんみんみんみん

長い梅雨のあとに
夏が一気にやって来たから
遅れを取り戻さなければならない

熱い空気が攪拌されて
白い足がいつのまにか焼けている

レモンを浮かべたアイスティに
シロップをかけて飲み干すころ
午後がようやく溶け始めた

あちこちで人々の会話が
アイスクリームのように溶けている
甘くてちぐはぐなまま

思い出が思いの中で混ざり合い
新しい思いが見つからない

木陰の向こうに
熱いコンクリートが伸びて
ゆらゆらと陽炎が立っている

境目のないまま
ぼんやりと眠気が降りてきた

夏の午後が
過ぎていく


※推敲して書き直しました。

by hannah5 | 2006-08-06 01:44 | 作品(2004-2008)

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