夏の午後
2006年 08月 06日
急に蝉が鳴き出した
今までどこにしまってあったのだろう
というくらい いくつもいくつも
木の中から湧き出してくる
みぃん みんみんみんみん
みぃん みんみんみんみん
長い梅雨のあとに
夏が一気にやって来たから
遅れを取り戻さなければならない
熱い空気が攪拌されて
白い足がいつのまにか焼けている
レモンを浮かべたアイスティに
シロップをかけて飲み干すころ
午後がようやく溶け始めた
あちこちで人々の会話が
アイスクリームのように溶けている
甘くてちぐはぐなまま
思い出が思いの中で混ざり合い
新しい思いが見つからない
木陰の向こうに
熱いコンクリートが伸びて
ゆらゆらと陽炎が立っている
境目のないまま
ぼんやりと眠気が降りてきた
夏の午後が
過ぎていく
※推敲して書き直しました。
by hannah5 | 2006-08-06 01:44 | 作品(2004-2008)