波の間   


「元気にしてる?」
「うん、まあまあね」

あなたのまあまあねは
明るくなったりグレーになったり
振幅があるから
今日はどのあたりなんだろうかと考える
寂しいような情けないような顔が
ふと浮かんできて
今日のまあまあねは
濃いグレーかもしれない

十日ほど前、朝早く
ひりひりして目が覚めた
底の方に
唐辛子のあなたが沈んでいた

あの日の出発は
なんだか心細そうだったし
引きつったままの気持ちをさすりさすり
誰かに甘えることもなく出て行った

気にしてみても始まらない
何より、決めたのはあなた自身だから
そっとしてあるのだけれど

小舟よりもっと危うい
木の葉のような細々としたあなたの後ろ姿が
大海の波間に漂って揺れている

「平気だよ本当に」
「それならいいけど・・・」

波の間に
唐辛子がぽつんと浮かんだ
心配性だからねぇって
笑ったみぞおちのあたりが
まだゆらゆらしている
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by hannah5 | 2007-02-01 23:54 | 投稿・同人誌など

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