緑の中の歴程フェスティバル   


「第一回歴程初夏の朗読フェスティバル」(歴程社HP参照)が自由が丘の大塚文庫(東京都目黒区自由が丘3-6-25)で開かれたので行ってみた。

大塚文庫は賑やかな自由が丘駅周辺を抜けて、徒歩10分ほどの閑静な住宅街の中にある。純和風の概観の建物の中は、茶室ありギャラリーありで多目的な用途に使用できる。3階からは富士山が一望できる。受け付けで入場料を払うと、川口晴美さんがにこやかに靴を入れるビニール袋を渡してくれた。30分ほど遅れて着いたので、プログラムはすでに始まっていた。(第一部(1時~) 和合亮一、相沢正一、田中一夫、葦田ゆき、黒岩隆、磯村英樹、高見沢隆、新藤涼子/第二部(2時30分~) 北爪満喜、浜田優、靍見忠良、北浜光男、関富士子、山口真理子、高貝弘也、三井葉子、粟津則雄/第三部(4時20分~) 川口晴美、伊武トーマ、日高てる、八木幹夫、高橋順子、野村喜和夫、那珂太郎)

コンサートや芝居や映画や室内楽の演奏など、芸術を愛する人たちが集まる場所には昔からけっこう出入りしてきたが、詩を愛する人たちだけの集まりに参加するのは、前回の「現代詩フェスティバル」に続いて2回目だ。詩が朗読されている間、言葉は自分の中でさまざまな音や形や印象を残している。言葉を愛する人たちの集まりにはそのことが共通の体験となっていて、じっと聴き入っている人たちの顔を見ながら、これはかなり贅沢な時間の使い方だと思った。

詩は普通、紙の上に書かれていてそれを目で読むわけだが、音読される言葉を聴くと、言葉そのものの在り方を考えさせられる。私たちは最初に誰かがしゃべっているのを耳で聴いて言葉を覚える。言葉はそうして始まるのであり、書き言葉は後から生まれたものだ。だから、詩の朗読を聴くという行為は言葉本来の在り方なのだと思う。

詩を読む行為は詩を書く行為とはまったく違う迫力がある。声の調子や顔の表情、詩を読む人が持つ全体の雰囲気、背景に使われる音楽や部屋の雰囲気、そして何よりも詩を朗読する人の思いが伝わってくる。それで思ったことだが、詩人は一般的に読むのが下手だということである。あがっていたからなのか慣れていないせいなのか、声が内にこもりがちで、こちら側にインパクトとして伝わりにくかった。普段一人で書くことが多いせいか、朗読された言葉が聴く側の魂を掴んだり離したりしていることが理解できていないのではないかと思う人が多かった。

その中で、もっとも朗読が上手いと思ったのは川口晴美さん。読み方に表情があって引き込まれた。日高てるさんはすべて暗記されていて、間に説明を入れながらすらすらと唱詠されたのにはさすがというか、驚いた。高橋順子さんは声があたたかくてよかった。野村喜和夫さんは相変わらず詩が上手くて時代の先を行っているし、心から賛辞を送りたい。そして、85歳になられるという那珂太郎さんの日本語はとても美しかった。

全体として、詩の朗読もなかなかいいと思った。私もこれから自分の詩を朗読する機会をなるべく見つけてみようかと思う。

最後に。窓々から見える緑がとても印象的でした。


(6/4 言葉が粗削りなので、全般にわたり訂正しました。)
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by hannah5 | 2007-06-03 23:42 | 詩のイベント | Comments(8)

Commented by gramali at 2007-06-06 06:59
素晴らしいレポートですね。
ここ数年は朗読から遠ざかっていました。
ナナオサカキの朗読は様々な場所で聞く機会を持ちましたが。
私も久しぶりに朗読会に参加しようと思い始めました。
Commented by ポピーの詩 at 2007-06-06 08:41 x
はんなさん、おはようございます!
朗読会の雰囲気がよく伝わってきて、とても興味深く読ませて貰いました。
私はまだ詩の朗読というものにふれたことがありません。
日頃、書き言葉、活字の言葉に慣れきっていますが、
言葉は、本来は声に出して読み、人に伝わり、
もっとダイレクトに交流するものなんだろうな・・・と思いました。
はんなさんのレポートを読んで、機会があったら私も詩の朗読会に
足を運んでみようと思いました。

Commented by saidenryu at 2007-06-06 23:19
こんばんは、
歴程、朗読会、面白そうですね。以前テレビで谷川俊太郎
さんの朗読を聞いたことがあります。
真似して自分の詩を朗読してみました。ああヘタ!
初めてだから当たり前か、となぐさめています。
Commented by w-piglet at 2007-06-07 10:42
はんなさん、こんにちは!
贅沢な素敵な時間を過ごされたのですね(^^)。
私は疲れると、今の自分に近い気持ちを読んだ詩を求めてしまいます。
でもそれをそっと読んで心に沁み込ませていくと不思議と疲れがとれます。
なんでしょう、言葉ってすごい力を持っていますよね。
Commented by hannah5 at 2007-06-07 12:16
◆gramali さん、おひさしぶりです。
ありがとうございます。
耳で聴く言葉というのは目で読む言葉とは違った迫力がありますね。
音はその場限りというか、もちろん記憶の中に残るわけですが、でも、後からそれを何度も聴き直すことができません。
その場限りだからいいとも言えるのでしょうね。
今週、また、ひとつ朗読会へ行ってみようと思ってます。
Commented by hannah5 at 2007-06-07 12:21
◆ポピーの詩さん、ぜひぜひ^^
詩を聴くだけじゃなくて、いろんな詩人さんたちに会えるから面白いですよ。
Commented by hannah5 at 2007-06-07 12:23
◆saidenryu さん、何度も朗読して、場慣れすると上達するのでしょうね。
めげずにこれからも朗読なさってみてください。
私も朗読、やってみようと思ってます。
Commented by hannah5 at 2007-06-07 12:28
◆w-piglet さん、はい、なんかとても楽しかったです^^
言葉って心を慰めたり活力を与えたり、力がありますよね。
聴く言葉には読む言葉とまた違った力があって、どちらもいいですね。

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