雨の日   


雨の日はひそひそ歩く
足元にこぼれ落ちる雨粒の
規則正しい音を聴きながら


小さないのちのぬくもりを思い出していた
子兎のように柔らかな体を抱いて
あっち
あっち
と、せがまれるまま歩いた
途中で元来た道を引き返し
にっこり佇んでいる若い父親に返すと
子供は父親の胸にぺたりと顔をつけて甘えた


駅前のカフェで遭った人は
雨が小降りになるのを待っていた
改札口に吸い込まれていく人たちを
ウィンドウ越しにじっと見ている

「人が大勢で固まって立つと魚の群れみたいで」
「はい・・・」
「たまに群れから離れて追いかけっこしているのがいて」
「・・・・・」

コーヒーを飲み終わっても
なんとなく立ち去りがたく
いつまでも坐っていた


黒々とした夜道で
雨粒が足を絡めて
小さなパドゥドゥを繰り返している

雨の日はそれらを拾う
思い出にならないほどの
やさしさで
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by hannah5 | 2007-07-11 23:34 | 作品(2004-2008)

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