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寺西さんがね   


教会の奉仕を終えて
帰りの電車に乗っている
夕方の薄暗くなった街が
車窓をびゅんびゅんと飛んでいく

電車の中で
寺西さんの詩を読んでいる

こんな時
寺西さんは街の風景を
寺西さんらしい優しいペーソスで書くんだろうな
と思っていたら
車窓の風景の中から
寺西さんの声が聴こえてきた

あ、
寺西さん、いま、飛んでいったみたい

寺西さんはもうここはにいない
なのに
以前よりもっと声が聴こえてくるのが不思議だ

寺西さんの詩には
生霊だの夢枕だのが出てくる
寺西さんが霊魂みたいなのになって現われても可笑しくはない

霊魂みたいなのになった寺西さんは
生きていた時みたいに
やっぱりぽつりぽつりと話す

わたし、お化けが怖くて嫌いなのに
霊魂みたいなのになった寺西さんは
なんだかほのぼのとしていて怖くない

変ね

by hannah5 | 2007-12-09 19:45 | 作品(2004-2008)

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