切れ切れに
2008年 01月 08日
ゆらゆらと揺らめく湯気の中に
思いのかけらや
出来事の断片や
流れていく時間の切れ端を放り込んでおくと
それらが不思議な陰影で
ひとつ
またひとつと
浮き上がってくる
表面に浮き上がったそれらは
光を受けて
ちろちろと小さな反射光を発している
それらを繋ぐものも
繋ごうとする意思もないのだが
均衡を保って
しばらく行儀よく浮かんでいたあと
湯気の向こうへゆっくりと消えていった
湯気が少し冷めたころ
取り残した切れ切れを放り込む
一瞬、反射光が驚いたように踊った
切り傷を作らなかった日のやわらかなきらめき
作り笑いしながら
他の事を考えていた薄茶色の苦み
深呼吸を幾度もしたのに
なぜだか取り残されてばかりいた
湯気が冷たくなった
消えそこなった幾切れかが
湯気の底に沈殿している
by hannah5 | 2008-01-08 23:53 | 作品(2004-2008)