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流れゆくもの   


時間が上手にやり取りされることを
ずっと考えている

わたしが目覚める頃
朝はすでにわたしを待っていて
わたしの意志とは無関係にあれやこれやと指示をだす
わたしは息をするのももどかしく
朝に言われるままに立ち働く
朝に好かれているのか嫌われているのか考える暇もなく
けれど
朝に好かれていることを上目遣いに切望する

朝が終わる頃
昼はすでに食卓についていて
空腹に満ちた顔をして待っている
朝から昼へ移るほんの半時ばかりを
昼の顔色をうかがいながら
朝にはできなかった深呼吸を独り占めしてみる
わたしだけの小さな時間はうっとりと美しく
ともするとそのまま眠ってしまいそうになるのだが
空腹が激しくなってきたらしく
ごくりと生唾を飲み込む音が聴こえてくるので
わたしだけの時間の余韻をあきらめる

昼から午後の真ん中へ
もっとも活力のある
もっとも重い仕事が歩いている時
わたしが私自身の息を紡ぎだす時だ
朝の脆弱な気分はしまいこみ
ぴちぴちと音を立てて前進する細胞を
香ばしい気分で見ている
夕方までのひと時が
その日の報酬を連れてやってくる

やがて夜へ
菫色の香気が立つ
雨の日に拾った銀色のビーズをつないで作ったネックレスは
わたしがもっとも大切にしているもの
宝石箱の中で涼しい音を震わせる
繰り返し作っては
繰り返し壊し
また繰り返し作っている
朝までのひと露ほどの時間の中で

by hannah5 | 2008-06-20 00:30 | 作品(2004-2008)

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