流れゆくもの
2008年 06月 20日
時間が上手にやり取りされることを
ずっと考えている
わたしが目覚める頃
朝はすでにわたしを待っていて
わたしの意志とは無関係にあれやこれやと指示をだす
わたしは息をするのももどかしく
朝に言われるままに立ち働く
朝に好かれているのか嫌われているのか考える暇もなく
けれど
朝に好かれていることを上目遣いに切望する
朝が終わる頃
昼はすでに食卓についていて
空腹に満ちた顔をして待っている
朝から昼へ移るほんの半時ばかりを
昼の顔色をうかがいながら
朝にはできなかった深呼吸を独り占めしてみる
わたしだけの小さな時間はうっとりと美しく
ともするとそのまま眠ってしまいそうになるのだが
空腹が激しくなってきたらしく
ごくりと生唾を飲み込む音が聴こえてくるので
わたしだけの時間の余韻をあきらめる
昼から午後の真ん中へ
もっとも活力のある
もっとも重い仕事が歩いている時
わたしが私自身の息を紡ぎだす時だ
朝の脆弱な気分はしまいこみ
ぴちぴちと音を立てて前進する細胞を
香ばしい気分で見ている
夕方までのひと時が
その日の報酬を連れてやってくる
やがて夜へ
菫色の香気が立つ
雨の日に拾った銀色のビーズをつないで作ったネックレスは
わたしがもっとも大切にしているもの
宝石箱の中で涼しい音を震わせる
繰り返し作っては
繰り返し壊し
また繰り返し作っている
朝までのひと露ほどの時間の中で
by hannah5 | 2008-06-20 00:30 | 作品(2004-2008)