わたし暮(ぐ)らし
2008年 07月 24日
考える
ということの重さを脱いで
胸の下あたりをひんやりと感じてみる
考える
ということの中には
大小とりどりの不安があり恐怖があり束縛があり無理があり
抹消神経が凍りつき
胸の中をしくしくとした痛みが走る
けれど
胸の下あたりのひんやりとした部分には
ささやかなわたしの息遣いが棲んでいる
そこは
きょうもあしたもあさっても
その先ずっと“今”という時間が続いていくところ
その時間に名前をつけたり
体裁を整えなくてもよい
だれにも叱られず
だれとも比較されず
ゆっくりと休みながら息を整え
空気のゆるやかなところを掬い
今日のお天気具合を占えばよいところだ
考える
ということの中で
わたしの声色を真似た
わたしそっくりの生き物が
次々と生まれては死んでゆく
胸の下のひんやりとした部分では
生まれては死んでいった生き物のことを
懐かしむことも思うこともなく
(もしかしたら、その生き物のことは知らないかもしれない)
やさしいムースのような暮らしをしている
by hannah5 | 2008-07-24 23:26 | 作品(2004-2008)