村ぐらし   


空のてっぺんで
鳥が鳴く
雨のあがった空の中から
しみわたるように鳴く

その瞬間
地上の汚れた争い事も
脂にまみれた疲労も
出口の見えない苦しみも
すべて小さく丸まって
落ちていった

空を渡り
空に舞い
空を啄み
空で休む
小さな鳥よ

インターネットも宇宙開発も
内視鏡もコンピュータも
ハイテクも光ファイバーも
私たち人間の便利のいっさいを知らずに
大昔からずっと変わることなく
同じ音色で鳴き続けてきた鳥よ

私たちがお互いの競争に一喜一憂している間に
おまえたちは夜が白むころ起きだし
澄んだ声を響かせ
晴れた日には空から空へと移動し
雨が降れば木々の間で翼を休め
日暮れとともにねぐらに帰り
巣にこもり
ひなを育て
雨あがりの日には
今日と同じように
空の青さを染めて鳴く

私たちが進化と呼んで享受してきたものは
地上で小さくなってうごめいているね


(原村にて)
[PR]

by hannah5 | 2008-08-25 12:46 | 投稿・同人誌など

<< 風に流れて 夏休みのお知らせ >>