夜をつかまえて   


いつまでも
いつまでも起きていたい夜があって
そんな時は
目の前に広がっている空間の中で
いちまいずつ夜を剥いでいく

いちまいめの夜を剥ぐと
風が落ち着かない様子で通りすぎていった
私も真似して早足で歩いてみたけれど
何かしっくりこない
風の歩いたあとなんて
ほんとうはかなりすてきなことなんだけれど
(だって自由になれるでしょう?)
なんだか気持がざらざらして落ち着かなくなった
それで風のあとを歩くのはやめた

にまいめの夜を剥ぐと
寂しい顔をした猫が暗がりを
ふどうみたいな眼をしてじっと見つめていた
近づくと猫はくねくねと体をしなわせ
くるりと回り
反対方向にもういちどくるりと回り
わたしの、あなたの、わたしたちの、ここにいる、ここにいて、ここ、こっち、だからそれで、
と口早に言う
怪しげな恋愛感情がこぼれそうになった

さんまいめの夜を剥ぐと
トラックが次々と疾走していった
切なくて優しくてやわらかくて
心臓が引きちぎられるような爆音を立てて
トラックが走っていく
いつかもこんなふうに
点滅するライトを見ていたことがあった
それはとっても感傷的で
とっても甘くて
けれどどうにも行き止まりの夜だった

よんまいめの夜を剥ぐと
形容詞が見つからないほど
夜は自由になっていた
シンデレラは時計が夜中の十二時を打ち始めると
慌てて自分のうちへ帰っていったけれど
わたしが住んでいるここでは
時間がひろびろと広がっていて
ひんやりした空気に足を浸しながら
さらさらと歩いていく

自由は、
これからが本番なのだ
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by hannah5 | 2008-09-25 23:53 | 投稿・同人誌など

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