詩と思想   


詩と思想11月号(土曜日術社)で拙作「未完」が佳作に選ばれました。選者は坂井信夫さんです。ありがとうございました。(詩人を「先生」と呼ぶことに対する反対論が述べられていましたので、ここでは「さん」付けで呼ばせていただきます。)選評に書かれた坂井信夫さんの言葉がいいです。その一部をここに抜粋します。

「この欄の投稿者のほとんどは、いまだ同人誌や会員誌に関わっていないと思うが、もし近い将来においてそうした機会があるとしても、心がまえとしてはつねに<単独者>でいてほしい。かつて誰かが「とかくメダカは群れたがる」といったそうだが、詩人というのは、いくら群れても、ほんとうの力にはならない。それは<勢力>にはなれても根底からの力には、ついになれない。詩はつねに個の内部から沸きだすものであって、外からテーマを与えられて書くものではない。これは基本であると思う。・・・・(中略)・・・・このようなことをこの欄で書くのは、たぶん場ちがいだろう。でも投稿者の方がたは、いつか詩を書く者たちと交わるようになるかもしれないし、同人誌や会員誌に参加するかもしれない。そうなったとき、組織や集合体はしょせん共同幻想であり、さいごに残るのは詩人としての個であることを、いまのうちに自覚しておいてもらいたいからである。」

現在、私自身は同人誌に参加したり、雑誌に投稿したり、いろいろな詩人の方たちとの出会いもふえてきました。そのどれもが刺激的で、そこから学ぶことは多くあります。でも、詩を書くこと自体は一人で言葉を掬っていく孤独な作業です。一人になって静かに言葉と対峙していると、言葉が不思議な力で私を魅了していきます。そこには本能的な喜びがあります。評価はあくまでも目安であり、それ自体は詩を書く動機ではありません。言葉を掬いながらいつも思うことは、評価に左右されず永遠に言葉に魅了されていたい、「詩人」という形にとらわれず、永遠にしろうとでいたい、自分の心のとおりに書いていきたい、ということです。

坂井信夫さんの言葉に勇気づけられました。これからも誰かの目を気にせず、書いていきたいと思います。






未完


どこにも流れつかない夜が ひとつ
きょうの終わりの
ゆるやかに落ちてくる時間の中に
ぽつんと漂う

少しずつ濃くなる藍色の街の中で
じっと見ていたショーウィンドウの
まばらな人影
夏の異国の深夜
人気の絶えたカフェで聞いていた
延々とつづく身の上話
夜の闇に
ぼんやりと浮遊しはじめた意識の中に
何の脈絡もなく突然降りてきた蜘蛛の話一匹
南国に夜が深くなるころ
裏通りのウィンドウから灯りが消え
闇の中で他人の顔いろをにじませる
夜の都会で
洪水のように押し寄せては
闇に吸い込まれていくヘッドライト

つかまえることができずに
眺めているしかなかったそれらの夜に
切れ切れに落ちていったわたしの残像

風の中に夢を追い
風に追われて夢に棲み
流れていく夜を
胸の内に抱きしめることもできず
やがてくる朝までの間に
ひとしきり流れ

夜がまたひとつ
拾われないまま
戻ることを忘れて
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by hannah5 | 2008-11-05 19:55 | 投稿・同人誌など | Comments(2)

Commented by gauche3 at 2008-11-07 22:34
はんなさん、おめでとうございます(^^♪
11月号、開いて見てみましたよ~。
(まだ10月号を読みかけで、開封していませんでした・・)

> 永遠にしろうとでいたい、
> 自分の心のとおりに書いていきたい、
いいですね。ここ。
詩もいいですけど、この部分に感じ入りました^^
Commented by hannah5 at 2008-11-08 01:25
♯猿夫さん、こんばんは。
ありがとうございます^^

もうひとつ。
詩人でいたい。でも、詩人であることを忘れていたい。

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