2007年 07月 13日 ( 1 )   

夜中わけもなく   


しんぴの詩はどこか宇宙的
冷めた静けさの中に遠い昔の記憶がよみがえる

遠い道端で猫がにゃーにゃ―と鳴き
ふと見れば目の前はどこまでも続くアスファルト

アスファルトの道をじっと見ていたら
青年が風をきって自転車のペダルをこいでいる

そんなに急いでどこへ行くのだろう
青年はわき目もふらず一心不乱に自転車をこいでいる

もしもし もしもし
青年の耳には私が呼びかける声は届かないようだ

もしもし 貴方はしんぴさんですか
青年はかすかな笑みをたたえて一層自転車をこいでいる

やがて青年が辿りついたのは
ちょっと古びているけれど洒落た洋館の建物

ヒトリボッチホテルの前
青年はそのホテルの総支配人だったのだ

ホテルに滞在しているのは
猫一匹と常連客としんぴが置いていった詩達と

青年が取り出したのは一冊の過去帳
よく見ると遠い未来の縮図が線と絵で描かれている

絵の向こうに見えるのは
広大な宇宙に散りばめられた無数の星々と果てしなく続く空間

やがて宇宙の彼方から誰かがやって来た
ホテルの総支配人の青年か、いや、しんぴの詩達だ

いくつもいくつも自転車に乗って走っていく
どこから来てどこへ行くのだろう 宇宙は広いよ

サイケデリックに配置した家具の間で
夜の散歩から帰ってきた猫がにゃーと鳴いた

微笑みながらそれを見ているのは
ヒトリボッチホテルの総支配人としんぴの詩達

やがてホテルに朝が来る
ホテルの当たり前な営みが始まり常連客も起き出してくるだろう

でも、夜になると猫が見ていた宇宙の夢は
誰も知らず、しんぴの詩達がひっそり目撃していただけだ


(3.21.2004 初出)

久しぶりのチャット
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by hannah5 | 2007-07-13 02:12 | 作品(2004-2008) | Comments(8)