2009年 01月 31日 ( 1 )   

小川英晴さん朗読会 ~ 冬の旅   


1月30日(金)午後7時より、ギャルリー東京ユマニテ(銀座)にてLa Voix des poetes (詩人の聲)(天童大人さん)主催による小川英晴さんの朗読会「冬の旅」が行われました。

朗読は第一部と第二部から成り、どちらにも佐藤達男さんの美しいギター伴奏が組み合わされていて、小川英晴さんの詩の世界を彩り豊かなものにしました。まるでシェイクスピアの芝居を見ているようであったり、美しく描かれた中世の絵が何枚も現れたり、低く垂れ込めた雲の下で風が吹き始め、やがてスコールの雨が降ってきたり、朗読される詩がこれほどドラマチックで美しく、心に深く訴えるものであると感じたことはありませんでした。

画廊の白い壁を背にして立つ小川英晴さんがやや緊張した面持で詩を読み始めると、白い空間の中から声が次々と湧き上がるようでした。その声は聴いている私たち一人一人の魂を絡めとり、次々と展開されるドラマの中を遊走し、白い空間の中に埋め込んでいき、また湧き上がり、ドラマの中を遊走し・・・それはまったく予期しなかった人生を歩んでいくような感じで、朗読が始まって間もなく、朗読者と伴奏者と聴衆の間にはなんとも言えない不思議な一体感がありました。

第一部は小詩集 『遥かなる楽園-エヴァに寄せて』から「はじめての日」、「音楽」、「蜜」などの作品を朗読、所々でブランテルやダウランド、タレガなどの曲が入りました。第二部は小詩集 『冬の旅』からの朗読。ギターの曲はシューベルト、ドゥ・ビゼー、タレガなどでした。最後に佐藤達男さんに寄せて書かれた詩「鳥の歌」を朗読して、朗読会は締めくくられました。

朗読について、小川英晴さんは次のように書いておられます。
「(詩を)朗読するために詩の分析や解釈も重要だが、そのまえに詩と一体になる想いの深さがなければなるまい。一粒の米粒を例にとって、ビタミンやでんぷん、それに脂肪など一粒に秘められた構成要素をいくら分析したところで、そのすべてを集めてまた一粒に固めたところで、それはもはや土に埋めても決して芽吹くことはない。つまり分析によって一粒のお米のいのちは死んでしまうということ、この最も重要な事実を意外に多くの人が忘れ去ってしまっている。・・・・詩の一瞬一瞬を生きるということは、とりもなおさずその一瞬に永遠を感じ、永遠と呼応し、一行一行を無心になって生きることに他ならない。
 詩の一行は神から与えられ、二行目からようやく詩人の手になると言われる。それほど最初の一行は敬虔なものなのだ。詩の生成はおそらく神の領域に属する世界の出来事なのだろう。それゆえに朗読はそのような契機と一瞬をなによりも尊重せねばならず、自らも朗読の一瞬一瞬を、いままさにそれをはじめて体験するように朗読をするしかない。それに朗読者は決して詩の解説者ではない。むしろ預言者に近い存在なのかもしれない。」(「イスパニア図書」2008年秋第11号よりコピー抜粋)

終盤に向かって私自身、涙が止まらず、深い感銘を受けた朗読会でした。

小川英晴さんと佐藤達男さんの略歴
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by hannah5 | 2009-01-31 13:31 | 詩のイベント | Comments(0)