カテゴリ:『水音』( 9 )   

  



声かけて傘貸しくるる人のあり雪ふりはじめし日暮るる町に



宙空ゆ粉(こ)雪しらしら舞ひきたりまどへるさまに傘にとまりぬ



いづくゆか無韻のしらべ聴くさまにこの身あらしめ天よ雪ふる



白雪はふりつもりたり街覆ひ倖せかなしみま白となして


                      (小浪歌集『水音』より)




今日は東京は雪が降っています。
先ほどまではぼたん雪でしたが、今は小さなあられ雪が降っています。
久しぶりに母の歌集を開きました。
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by hannah5 | 2013-02-19 14:58 | 『水音』 | Comments(0)

春日   



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              花に身の埋もれたしとや夢のごと畠のかなたに霞む菜の花



                                    (小浪歌集『水音』、「春日」より)
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by hannah5 | 2010-04-03 23:39 | 『水音』 | Comments(0)

米寿の母   



歓びもはた悲しみもよはひ古り語らぬ母となり果て給ふ


衰へてなすべなき母のもと辞すと白髪(しらかみ)ねんごろに梳きて訣れ来


老弱の母に口寄せまた来むとつらきわかれは言ひて去りつも


                            (小浪歌集 『水音』 「米寿の母」より)


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by hannah5 | 2009-05-11 13:23 | 『水音』 | Comments(2)

流し   


流し



濡れてゐる夜の流しに手を拭ひ眠るよりなき愚直のこころ


米研ぎ終へし流しに夜の灯光りをり揺れゐしこころ鎮まらんとす






干魚



瓦斯の火に干魚並べて焼く夕べさびしみてせむことならなくに


夕さりにもの煮てをれば階段を降りきたり子の佇ちて覗ける


                               (小浪歌集 『水音』 より)


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by hannah5 | 2009-02-15 23:20 | 『水音』 | Comments(0)

雨の日に   




さめざめと雨の降る日は火を焚かん濡れそぼちゐる者よあつまれ




さめざめと雨の降る日は火を焚きてさびしき友よともにうたはん




しみじみと暖炉燃やしてたましひの底あたためん雨のふる日は




                           (小浪歌集『水音』より)





11月の気温。
長い雨。
今日一日。
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by hannah5 | 2008-09-29 23:45 | 『水音』 | Comments(2)

五月陽   


         上京せる弟不二男と大井町駅に会ふ


駅前の五月陽眩し相逢へばともに歩めり馴染みなき街を


骨肉のやさしさのみが見ゆるゆゑ雑然と続く街馴れがたく


柔和なる笑顔を向けぬ報はれぬ賃金交渉に疲れたりと言ひて


アーケード逸れたる路地の小料理屋午(ひる)は乾ける戸を閉ざしたり


此処に生くるも人のなりはひしらじらと午は乾けり飲食(をんじき)の町


改札口に後姿(うしろで)見おくる土ながら筍重きを提げきてくれし



                                   (小浪歌集 『水音』 より)

ひと言
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by hannah5 | 2008-05-16 23:50 | 『水音』 | Comments(4)

草生   



県道を離れ川辺に歩みきぬ何を逃れむけふのこころぞ



つくしほつほつここだくも生ふ丈直き土筆は摘む低き残さむ



みどりなす杉菜草生目にすがし苦き思ひはここに捨てむよ




                                    (小浪歌集 『水音』 より)

『水音』「あとがき」より
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by hannah5 | 2008-03-07 14:10 | 『水音』 | Comments(0)

冬日   




向ひ家の犬庭隅に繋がれて物干し台の吾に対へる



彼方なる犬に向ひて手を伸ぶる冬の日和にたゆめる午(ひる)を



留守の家(や)の犬ひたむきに脚揃へ親愛示すこなたの吾に



背を向けて穴掘れるらし彼方なる犬階上よ遠くにし見ゆ


                            (小浪歌集 『水音』 より)


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by hannah5 | 2007-12-15 23:45 | 『水音』 | Comments(6)

春日   


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                                        (東京都江戸川橋)

                     

     咲き満てるさくらしづかに散りにつつ園の樹(こ)の間(ま)はほのあかりせり




     ありなしの風にさくらの花びらの散りて舞ふなりひと無き園に




     ひかりつつふりくる花片ほのぼのと紅泛べたり湿れる地(つち)に




     風に浮き風ゆく方(かた)へながれつつあそべるさまに散るさくら花




     いまを咲く花は賞でむと仰ぐまも音なく散りて地に敷くさくら



                              (小浪歌集 『水音』、「春日」より)
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by hannah5 | 2007-04-04 23:56 | 『水音』 | Comments(7)