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雨のあとに   


苦しみながら歩いた道の向こうに
一筋 陽の光が射し
掌にそっと受けてみれば
懐かしい季節が見える

言葉への渇望と羨望
遠い昔の初恋にも似た憧憬
雨のそぼ降る日
心にじっと想い続けた

降り続いた雨のあと
沁みるような清(すが)しさと
優しさが心を満たし
この道をまた歩み出す

想いが心を包んだ
言葉が心に溢れた
懐かしかった季節が
ひときわ美しく輝いている
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by hannah5 | 2004-11-30 22:02 | 作品(2004-2008) | Comments(6)

貯水池   


言葉がふつふつ湧いてくる
どこからともなく湧いてくる

よいしょ よいしょと汲み上げてみれば
どくどく どくどく 湧いてくる

掌で掬っているうちに
溢れてしまって こぼれてしまって

時々ね 痛いね
だから 痛いのは ぽい 捨てる

尖ってるのは
まるく まあるく 削って 磨いて

だけど 心まで捨てないよ
心はね 言葉が溢れる貯水池だから

言葉
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by hannah5 | 2004-11-30 19:54 | 作品(2004-2008) | Comments(8)

  


細くなった綱を握りしめるように
呆け始めた母を守り続ける
子供に言って聞かせるように
ひとつひとつ母に指示を出す
そのたびに母はうなずいているけれど
すぐまた忘れてしまう
母が寒いと言えば、煎じ薬を煮出し
硬直した膝のために屈伸運動を施す
母を失うかもしれないという不安と
自分も老いていく心細さと闘いながら
いつか母が歩けるようになると信じ続ける父
一日中ベッドに横たわっている母のそばで
テレビを見、辛抱強く母の回復を待つ
時々、母はそんな父にお礼を言う

年老いた二人の間に漂うものは
手を携えて生きてきた長年の信頼と愛情
雨の日も嵐の日も守り続けてくれた父に
すべての信頼を預けて安心している母
父は年老いていく母を今でもずっと愛している
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by hannah5 | 2004-11-29 23:04 | 作品(2004-2008) | Comments(8)

コンテンポラリーな日々   


未来への渇望
幾何学への憧憬
ぬくもりへの回顧
セピア色した思い出たち
シンセサイザーの創造
想いに佇む光
科学への信頼
スピリチュアルへの羨望

詩ひとつ 実験を重ね
詩ふたつ 心を拾い
思考が交錯し
感覚に浮遊する

何かがまた生まれる

予感
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by hannah5 | 2004-11-29 13:24 | 作品(2004-2008) | Comments(2)

情報多種多様   


面白いブログとの出会い
思わず引き込まれて
うんうん、そうだそうだ

ブログにしておくには勿体ない
いや ブログだからいいのかもしれない
コメント欄に生の反応と反響がある

巷のニュースや世間話を
その人なりの分析で評論を書く
なかなかどうして いいんですね これが

筆がたつ人多い
プロ並みのコメンテーター
プロ顔負けの批評、論評

締め切りも制約もないが
肥えた目をもつ読者に読まれて
中身の質が向上していることもたしかだ

かつてはごく限られていた情報源
だが 通信の発達とともに
情報の入手は無限に広がっている

無限の情報源の中から
一番必要なものや
自分に合ったものだけを選択していく

情報が溢れすぎているとは思わない
選択肢が広がり
面白い時代になったと思う
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by hannah5 | 2004-11-28 18:19 | 作品(2004-2008) | Comments(16)

私の好きな詩・言葉(16) 「落葉松」   

20代前半、苦しい恋愛のさなかに信濃追分の落葉松林を知り、幾度か訪れました。さびしい落葉松林を歩いて北原白秋を知ったのもこの頃です。その頃書いた詩には、白秋や立原道造などから影響を受けたものが多かったと思います。



からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。



からまつの林を出でて、
からまつの林に入りぬ。
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。



からまつの林の奥も、
わが通る道はありけり。
霧雨のかかる道なり。
山風のかよふ道なり。



からまつの林の道は、
われのみか、ひともかよひぬ。
ほそぼそと通ふ道なり。
さびさびといそぐ道なり。



からまつの林を過ぎて、
ゆゑしらず歩みひそめつ。
からまつはさびしかりけり、
からまつとささやきにけり。



からまつの林を出でて、
浅間嶺(あさまね)にけぶり立つ見つ。
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
からまつのまたそのうへに。



からまつの林の雨は、
さびしけどいよよしづけし。
かんこ鳥鳴けるのみなる。
からまつの濡るるのみなる。



世の中よ、あはれなりけり。
常なけどうれしかりけり。
山川に山がはの音、
からまつにからまつのかぜ。


(北原白秋、『北原白秋集』「落葉松」より)
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by hannah5 | 2004-11-27 22:59 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(6)

さよならの向こうに   


いくつも大きなさよならをしたから
もう さよならはしない

さよならをすると
一緒に生きてきた時間まで失ってしまう

たとえそこに人はいなくても
あの時の私がそこにある

アルバムをめくると
確かにそこで息をして想いを刻んだ時がある

あの時の熱を思い出すことがある
飢えて乾いていた記憶がある

熱いまなざしをくれた人はもういないけれど
心の中にしまったままの季節がある

うかつにもさよならをしてしまったから
ほほえみたくてもほほえむことができなくなった

扉に鍵をかけすにおけば
いつかまた人に会える時があるかもしれない

だから もうさよならはしない
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by hannah5 | 2004-11-27 17:03 | 作品(2004-2008) | Comments(10)

流れる時間   


知らない街をいくつも通り
知らない顔にたくさん出会い

たくさんのはじめまして
たくさんの自己紹介

乗ったことのない電車に乗り
降りたことのない駅で待ち合わせ

いつ人の心に出会ったのかわからないほど
足早に時間が過ぎていく

カルチャーショックも時差も味わわぬまま
ふるさとニッポンでふつうの顔をして暮らす

そうして 自分の居場所が見えなくなると
一息ついて立ち止まる

真っ青な空を見上げては心が晴れ
月を見ては故郷に想いを馳せたのはいつのこと

流れ去る時間の狭間で
ふと思う
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by hannah5 | 2004-11-26 23:29 | 作品(2004-2008) | Comments(2)

光の中で   


ゆっくりと気持ちが安らかになっていくあなたを見て
今度こそあなたがありのままでいられるようにと願う

澄んだ青い光の中にふんわりと心を浮かべれば
あなたの言葉が優しく並び始める
言葉を紡いでいるあなたは嬉しそうで
風がはにかみながらあなたのそばを通り過ぎていく

光の中でじっとあなたを想う
まあるくてあたたかい心たちがあなたの心に寄り添い
あなたの心を優しく包み
ほほえみの風を送りますように
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by hannah5 | 2004-11-26 00:03 | 作品(2004-2008) | Comments(4)

ぽぽろん   


遠い所へ
ぽぽろん ぽぽろん 電車に乗って
とことこ とことこ 駅を乗り継ぎ
知らない人々の群れの中で
主を伝え
主に仕え

遠い街から
ぽぽろん ぽぽろん 電車に揺られて
とことこ とことこ 階段上り下り
初めての出会い 初めてでなく
夢中で話し
再会を約束し

夜更けの街を
ぽぽろん ぽぽろん コンビニに立ち寄り
とことこ とことこ 坂道上り
夜更けの自宅に弁当抱え
腹すかせ
遅い夕食
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by hannah5 | 2004-11-25 00:52 | 作品(2004-2008) | Comments(7)