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光のプリズム   

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                 太陽が水の上に落とし物をしていった日
                 僕は取るものも取りあえず
                 その場所に行ってみた

                 きらきらする粒をいくつもこぼしながら
                 太陽は僕が着くのを待っていてくれた
                 太陽が僕に「やあ」と手を上げた

                 僕は光る粒に気を取られてしまって
                 太陽の挨拶なんか耳に入らなかった
                 見ているうちに粒が次々と転がり落ちていくんだ

                 僕は光る粒たちを拾おうと思ったが
                 なんだか急に恥ずかしくなってやめてしまった
                 太陽が僕の顔を覗き込んでいたからね

                 それで、僕はちょっと目を細めながら
                 太陽に挨拶したよ
                 「やあ、ひさしぶりだね」

                 すると、太陽が嬉しそうにぎらりと笑うんだ
                 僕は一瞬たじろいだ
                 それからしばらく動けなくなった

                 気がつくと
                 美しいプリズムが僕の掌に落ちていた

こぼれ落ちた
写真: こーさん
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by hannah5 | 2005-01-31 19:33 | 作品(2004-2008) | Comments(10)

雲たち   


朝 見たときは ハートの形をしていた

昼 見たら ハートが横に伸びていた

そろそろ夕刻になる今は 伸びたハートが子分を連れてきていた

まだ残っている太陽に照らされて
気持ちよさそうに寝そべっている

空は雲が自由になりたがる場所

好きなように日光浴をしたがるところ


あなたの空へ
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by hannah5 | 2005-01-31 16:20 | 作品(2004-2008) | Comments(2)

私の好きな詩・言葉(26) 「若い母親から子どもたちへの遺言」   

今日は詩ではなく、言葉のご紹介です。

人はどのようにして死を迎えるのでしょうか。私の両親はともに80歳を過ぎ、呆けの進んだ母はほとんど寝たきりの状態です。父は今年になってから2回、脳梗塞で倒れました。日一日と体力が衰えていくのがわかります。弟も私もそんな両親を見守りながら、胸が詰まるような思いでいます。

呆けて行動がおかしくなってきた母とどう付き合ったらいいのか。年を取るということは、いつ呆けがくるとかどのように癌になるとか、予測がつくものではありません。頭の回転が速かった母は考え方も柔らかく、よく本を読んでいましたが、呆けてまともな話ができなくなり、その上おかしな行動を取るようになりました。

そんな折に日野原重明さんの『テンダー・ラブ』という本に出会いました。日野原さんは現在94歳、聖路加病院の理事長を努めています。

「母親から子どもたちへの遺言」は、乳がんに冒され、余命いくばくもない若い母親が、あとに残る7歳と9歳の息子達のことを思って綴った手紙です。手紙は彼女のお葬式の日に読まれました。乳がんの診断を受けた彼女は息子達のために童話を出版し、誕生日や中学入学祝い、高校入学祝いの日が来たときのために送るメッセージの入った封筒を用意しました。

日野原重明さんは最後にこう結んでいます。「私はこの訣(わか)れのメッセージを目をつむって聴き、彼女の壮烈な死のなかに、二人の子どもたちへのメッセージが読まれる日の情景を心のなかに描きました。彼女は死後も子どもたちといっしょに成長していくんだと、分身としての子どもたちへの母親の愛の連続性を強く感じるのでした。」

本の帯に「愛しなさい。限りなく、悔いのないように愛しなさい」という言葉が書かれています。老いていく両親を見ることは辛いことです。けれど、最後まで精一杯愛することによって、悔いのない別れ方ができるのではないかと思います。

『テンダー・ラブ』にはこの他に、年を取ってから芽生えた恋の話や長らく暮らした夫婦の愛、愛する家族からのがんの告知など、心あたたまる愛の話が収められています。機会があったら一度読んでみてください。


「若い母親から子どもたちへの遺言」

「大好きな皆様へ
 私は、病に罹ってからのほうが、それ以前よりも自分らしさが表現でき、自然な姿の私でいられました。療養中はいつも大勢の方々に囲まれて、家族に愛されていることを体いっぱいに感じ、幸せな日々でした。
 健康で活動している頃は、他人と自分を比較し、高い目標をもってそれに向かうように努め、余裕もなく、忙しく、自分のおかれている状況に満足することなく、日々を過ごしていました。自分に咲いている花には気がつきませんでした。
 病になってから、やっと私にとって何が大切かわかりました。
 ありのままの私でいればいいということ。
 友人と語り合うこと、交わり合うこと、お互いを思いやることが、私の心をほっこりと温め、生きることが楽しいと思えること。
 ときには耐えることも必要であること。
 心配の先取りはしないで、神様のご計画に従っていればよかったということ。そのために、週にたった一度の平安な神様との時間を必ずもてばよかった。
 力を入れる必要はなにもなかったのです。
 私がこの短い人生のなかで、神様を忘れて、自分の道をいこうとしているときがありました。でも神様は、いつ、どんなときでも私を見つめ、見守ってくださり、こんな私の罪もすべて許してくださいました。
 小さい子どもを二人残すことは、やはり悔やまれてなりませんが、私の思いは彼らに届いていると思います。子どもたちは母親がいなくても、神様の守りのなかで、強く優しく育つと信じ、心配しておりません。
 しかし、もし聖と基が困っていることがありましたら、言葉をかけていただけたら幸いです。もし、聖と基にうれしいことがありましたら、ともに心から喜んでやってください。彼らの目には皆さんのなかに母親がたぶって見えてくると思います。
 楽しい思い出をたくさんありがとうございました。
 また、おしゃべりをしたいですね。
 いつでも私のことを思い出してください。
 すぐに心のそばに飛んでいきます。
 最後に、神様のもとに帰ることができることを喜んでいます。だから、どうぞ寂しがらないでください。私はいつまでも家族や皆様とともに生きています。
 どうぞお元気で、私の分まで長生きしてください。
 本当にありがとうございました。」

(日野原重明著『テンダー・ラブ』、第一章「訣れのときでさえ、人は、愛を交わすことができます」より)

天然の中で

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by hannah5 | 2005-01-30 15:20 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(8)

天然の中で   


あなたは偉いなと思う
意気地のない私は
あなたが老いていくのを見て
悲しむばかりだけれど
あなたは人を恨みもせず
愚痴もこぼさず
優しい気持ちで生きている
時々、昔覚えた歌を
一人で楽しそうに歌っている

家事の切り盛りも
家計のやりくりも
私達の養育も
一人で背負ってきたあなたが
今は一切を天に任せて
天然の中に童女のように生きている
記憶をひとつ落とすごとに
心が浄化されていくようだ

最後の灯が消えるまで
あなたと一緒に微笑んでいよう
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by hannah5 | 2005-01-29 23:54 | 作品(2004-2008) | Comments(4)

Care   


タオルを一枚
タオルを二枚
タオルを三枚
タオルを四枚

洗濯したてのタオルの山
清潔の必需品
あなたが今日も生きている証し
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by hannah5 | 2005-01-29 15:54 | 作品(2004-2008) | Comments(5)

月明り   


物心ついた時には この街に暮らしていた
わんわんと広がる雑草をかき分けて
赤まんまのごはんを千切りに行った
ござの上にちょこなんと坐る君に
ごはんをよそってあげると
君は神妙な顔をして食べた

陽射しが傾き始めた頃
ススキが寝転がってつるつる光るススキ山を
端から端まで探検したね
滑り落ちないようにそろそろと歩いていたけれど
途中から一気にダッシュでかけ下りた

薄暗いどんぐり山はどこか湿っていて
落ちていたどんぐりもどこか憂鬱だった
どんぐりを拾うだけ拾うと さっさと家に帰ったよ

月明かりに照らし出された庭を見ていたら
ふと 君と私が育った頃を思い出した
若かった親達が希望を抱いて建てたこの家や
季節ごとに楽しみながら眺めていた木々や
「これ、僕のびわ」と言って君が植えたびわの木や
毎日 雑巾がけをさせられた夏休みのことや
この街が空き地ばかりだったことや・・・

ふだん飛び回っていて思いもしなかったけれど
こんな家にも思い出はつまっているものだ

もうじき ここもなくなる
そう思ったら 月明かりがいっそう沁みたよ
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by hannah5 | 2005-01-28 23:25 | 作品(2004-2008) | Comments(6)

始動   


ひとつの小さな土台ができた
これはけっこう堅固な土台だ
土地が固かったし荒れていたから
なかなか杭を打つのはむずかしかったが
なんとか杭を打ち込んで
土台を作った

もう壊れないだろうと思う
もう壊さないだろうと思う

壊れそうになったのは反逆と背徳が
疾風怒涛を呼び起こしたからだ
あの時は悪魔と後ろ手で結託した
上手に仮面をかぶっていればばれないと思ったんだね

仮面は思ったほど強固ではなかった
創造主の前では役に立たなかった
第一、すべてお見通しだったよ

土台作りは思ったより時間がかかったが
作ってみればダイヤモンドより硬質なシロモノ

さあ、この土台の上に何を建てよう

少しづつ何かが動き出している
地中の奥深くから
ぎしっ、ぎしっと
歯車がゆっくりと回る音が聞こえてくる

オルガナイズされた聡明さ
思考するリズム
いのちに密接するプランニング

静かに始まる

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by hannah5 | 2005-01-28 15:03 | 作品(2004-2008) | Comments(6)

詩の在り処   


詩は魂の発露
日々の事象が
心の中である時はさざ波を作り
またある時はうねる時
いのちの雫が結晶する

詩は魂のつぶやき
人の世の移り変わりが
ひそかな想いを呼び
哀しみさえもたらす時
いのちがため息を漏らす

詩は魂の叫び
途々に生い茂る茨が
心を塞ぎ
突き抜ける苦しみにもがく時
いのちが求めて絶叫する

詩は魂の歓び
新しい季節の訪れが
健康な息遣いを整え
生まれいづる喜びを待ち望む時
いのちが満ちて溢れる

詩は魂の真珠
一粒の苦しみが
人を砕いて試し
なお生きる望みを持ち続ける時
いのちが品性を練り出す

魂の在り処
詩を一遍
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by hannah5 | 2005-01-27 14:38 | 作品(2004-2008) | Comments(18)

再会   


哀しみが心を塞いでしまった日々に
優しさを置き去りにして封印し
足元を見つめて 歩きに歩いた
道端の草花に目を留めることもなく

道なりに歩くということは
いつか目的地に着くということだが
時の幅も長さも知らなかった
急ぐことだけが目的だったから

見えない扉を探していた
開くことも思わず けれど開くことを願って
飢えていたのか満たされていたのかも覚えていない

いつしか 時のこちら側に来てみれば
知っていた優しさは あの日と少しも変わることなく
恥ずかしげに想いを寄せ 心をたぐり寄せる

年月(としつき)が積み重なった分だけ
懐かしさが重なり
ひとつづつ思い出を拾い集め 今を足していく
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by hannah5 | 2005-01-27 00:48 | 作品(2004-2008) | Comments(3)

風のない日   


風のない穏やかな冬の昼間
街のここかしこがうらうらとあたたまる
縮こまった体を伸ばして歩く

少しづつ 少しづつ 歯車が動き出している
はっきりそれとはわからない速さで
擦り切れてしまった時間には心地よい速度だ

気持ちが軽くなって 久しぶりに街の中に佇んだ
電話ボックスの上で冬がひと休みしている
春がもうじき追いついてくる

すれ違った心たちがうららかな街を歩いている
こんな日だから
希望よ 静かに降りてこい
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by hannah5 | 2005-01-26 03:01 | 作品(2004-2008) | Comments(12)