<   2005年 08月 ( 38 )   > この月の画像一覧   

実験を繰り返す   


からだの中から湧いてくる疑問を解くのは
だれ?
深い淵から仰ぎ見て
投げやった振動のその先を
おずおずとたしかめてみる

形骸化されたパターンに向かって
鰯のように泳いでいれば
振動には気づかず 感じず
ましてや触れることもなく

からだの奥深くにあるものが
闇なのか 光なのか
それが知りたかったのだ

青ざめた顔をして歩き廻っていたら
沖の向こうのガリバーが
振動に気づいて
親切にも闇と光を選り分けてくれた

試験管を振るごとに
もうもうと煙があがったから
私は失敗を恐れなくなったし
成功することもわかるようになった

心の実験は順調に進んだよ
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by hannah5 | 2005-08-30 20:11 | アメリカ時代(2004-2005) | Comments(8)

言葉が在る   


言葉が在る
無限の彼方から
無限の此方へと
大らかに
自由に

街を歩き
山を越え
海を渡り
空を舞い
時を越えて
言葉は
生きとし生けるものを愛し
地上の出来事に思いを寄せ
宇宙の神秘に感嘆する

言葉が在る
私が生まれる前から
私が死んだあとも
絶えることなく
すべての中に

過去を学び
未来を想い
現在を識り
思い出を包み
夢に託しながら
言葉は
創造の初めに語られ
無形から有形を生み出し
万物にいのちを与えた

言葉は
永遠を詠い続ける
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by hannah5 | 2005-08-30 00:37 | 作品(2004-2008) | Comments(10)

時には雨も降るでしょう   


時には雨も降るでしょう
そうそう良いお天気ばかり続くわけもないですからね
それでもなんとか歩いているわけで
しんどくないといえば嘘ですね

けれど、そんなに大げさに考えたって仕方ありません
雨が降ったら
空を見上げて一緒に泣けば
いつか雨は止むのです

時には風も吹くでしょう
なんだかうまくいかなかった日に
雑草の上を吹いている風にあたってみれば
いつか心は慰められます

好きなように吹く風は
自由な想いを運んでくれます
深く沈んでいても風に吹かれていれば
いつか気持は優しくなるのです

生きていくのはしんどいですが
生きているのは悪くない
そんなふうに思います
そんなふうに思いませんか
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by hannah5 | 2005-08-29 20:37 | 作品(2004-2008) | Comments(13)

私の好きな詩・言葉(50) 「良い朝」 (伊藤整)   


今朝ぼくは快い眠りからの目覚めに
雨あがりの野道を歩いて来て
なぜかその透きとほる緑に触れ、その匂に胸ふくらまし
目にいっぱい涙をためて
いろんな人たちの事を思った。
私の知って来た数かずの姿
記憶の表にふれたすべての心を
ひとつひとつ祝福したい微笑みで思ひ浮べ
人ほど良いものは無いのだと思ひ
やっぱり此の世は良い所だと思って
すももの匂に
風邪気味の鼻をつまらし
この緑ののびる朝の目覚めの善良さを
いつまでも無くすまいと考へてゐた。


(集英社 『日本の詩』 「伊藤整集」より)

解説
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by hannah5 | 2005-08-28 19:19 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(4)

空がある   


至らなさと 感じ易さと
傷みと 物足りなさと
切なさと 哀しみが
私の中を交互に
あるいは混雑しながら通り過ぎる
風のように
雨のように

私はゆっくりと
またぼんやりと
それらが行き過ぎるのを眺めている
時には陰鬱な気分で
時には物憂いような思いで
また時には無関心そのもので

雨が風に乗っていっぺんにやって来た時には
少々自分を見失いかけたが

空の下で起こったそれらの出来事を
受け止めることができずにいた時
空は一陣の風を送り
広々と天を押し広げてくれた


台風の後
ねじさんの所からトラックバックしました♪
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by hannah5 | 2005-08-27 22:04 | 作品(2004-2008) | Comments(14)

思う   


思う
私の至らなさを
言葉が不用意に滑っていく
突然切られた傷みを思う

思う
小さく湧き始めた痛みの粒を
ぢくぢくと 穴蔵から
次第に溢れて

思う
でこぼこしている私の上に
ほんのりと柔らかく通りすぎていく
きみの大らかさと穏やかさを

思う
ブランコのように揺れる気持を
ぼんやりと立って見上げる
知らずにいた きみのそよ風

思う
夕べの泣きべそ きょうの照れ笑い
もういいかい
もういいよ
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by hannah5 | 2005-08-27 01:08 | 作品(2004-2008) | Comments(12)

犬と人と   


犬と人と (7.27.2005)

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あなたが優しく見つめているから
すっかり安心して

すやすや

眠る

あなたの思いやりと
まあるく広がる空間の中で
生きているのは夢

犬小屋の入り口をかじってみるのは
夢のつづき

その向こうにあなたが立つ
笑っているような泣いているような
顔をして

あなたの優しさなんか試さない

生きたいように生きていると
草のにおいが鎖を引っぱって
早く早くとせかすから
走り出す 足が四つ
ひとつになって

困惑顔のあなたを置いていくね

見るものは草原(くさはら)の広さと
ひとしきりの空いろと

わたしは自由だったか
あなたは自由だったか

いつのまにかあなたのそばで
眠っているわたしの中の
あなたは

ひとしきり

自由になった


※写真: It goes on... (by ksksk312)

抹香クジラの脊椎コロニー別館は私の好きなブログの一つで、ksksk312さんのすばらしい
  エッセーと詩をいつも楽しみに読ませていただいていました。今回、リニューアルのため、こ
  のブログを8月いっぱいで閉鎖し、新たにsort of daysort of vision という2つのブロ
  グを開設されました。ksksk312さんの了解を得て、抹香クジラでトラックバックさせていた
  だいた写真2点「It goes on...」と「私立図書館にて」をお借りしましたので、詩とともに、再
  度掲載させていただきます。
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by hannah5 | 2005-08-26 00:36 | 作品(2004-2008) | Comments(12)

風景   


風景 (12.6.2004)

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                        毎日見ている風景が
                        心のフィルムに
                        違う形や色を映し出す
                        今日の色は何色?
                        昨日とは少し違う形だ

                        嬉しかった季節の
                        思い出がはねる
                        悲しみの向こうに
                        遂げられなかった想いが佇む
                        小さなノスタルジア

                        希望や喜びや悲しみの点滅
                        言葉になる前の
                        意識にも上らない物語
                        けれど心はそれらを
                        じっと見つめているね


※写真: 市立図書館にて (by ksksk312)
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by hannah5 | 2005-08-26 00:33 | 作品(2004-2008) | Comments(4)

雨は論理的に今日も降る   


人間が理屈を並べてみても
雨ほど論理的ではないだろう
雨は雨以外の何ものでもなく
空がこぼしたように降る
気流の流れと気圧の変化と
水蒸気の集まり具合と
自然の計算どうりに降る

人間は雨のようには降らない
気流に追いつかないし
気圧は複雑すぎるし
水蒸気は計算がはずれてしまう
人間が追いかけまわしているうちに
雨は行ってしまった
どうの昔に

ざあっときて おしまい

人間はその下で
コーヒーでも飲みながら
雨の滴にため息をついているだけ
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by hannah5 | 2005-08-25 20:40 | 作品(2004-2008) | Comments(14)

また雨が降る   


雨が降る
とぼとぼと
降る 続きに降ってみる
どんぶらと流してしまったから
思う勢いはもうなかった

思い出はなく
気まぐれもなく
思惑どおりに 気流の中で
いち に の さん
まじめに傘を広げてみても
雨は気にもとめずに
降りおりてきて 地面に流れていった
知らん顔して降る雨の中で
したり顔して雨を想う

想ったり
想われたり
知ったり
知られたり

雨は私の心を知っているだろうか
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by hannah5 | 2005-08-25 20:26 | 作品(2004-2008) | Comments(6)