<   2006年 04月 ( 27 )   > この月の画像一覧   

あなたの心に   


空があんなに青いのは
あなたの心が澄んでいるから

きれいなあなたの心の前で
泣いてしまわないように

あの空の中に
私の心を溶かしてしまおう

汚れてしまった心を
疲れてみじめな心を

あの空のようになりたい
あなたの心のようになりたい


春の山。
写真: rerapilika さん
[PR]

by hannah5 | 2006-04-30 23:57 | 作品(2004-2008) | Comments(11)

雨がやんだね   


雨上がりのバス停の
スチール製の丸い腰かけは
雨水がいっぱいついてる
男の子が小さな両手で
さわーっ さわーっ
と なでていく
隣のも
さわーっ さわーっ
そのまた隣も
さわーっ さわーっ

折り返して
さわーっ さわーっ
さっきなでたのを
さわーっ さわーっ
さわーっ さわーっ

「さぁ、いきましょう」
お母さんに言われて
もう一度初めから
さわーっ さわーっ
さわーっ さわーっ
さわーっ さわーっ

「きれいになるよ きっと」
私に話しかけられて
急になんだか
さわーっ・・・ さわ・・・
・・・・・
・・・
・・

お母さんがにこにこしながら
ゆっくり立ってる
きみは
それから
とっとこと
お母さんと行っちゃった
[PR]

by hannah5 | 2006-04-29 23:11 | 作品(2004-2008) | Comments(3)

取り扱い要注意   


アナログの人達の
思い入れの強い人達の
寂しがりやで自分勝手な人達の
デコボコした人達の
トモダチになりたいと思った
すると
あっちが引っ張られ
こっちが引っ張られ
なかなか思うように小回りがきかない
デジタルに歩けばいいよ
と 自分に言い聞かせたが
アナログと思い入れと寂しがりとデコボコは
何のことはない
自分のことだと気づいた

むずかしいね 人間関係は
取り扱い要注意なのは
誰よりも自分だから
[PR]

by hannah5 | 2006-04-28 23:42 | 作品(2004-2008) | Comments(2)

ともだち   


少年が大事そうに懐に抱えているのは
白い毛糸玉のような小さなプードル
じっと前を見つめて立っている少年の顔の下で
ビー玉のような黒い目が二つ
あたりをきょろきょろ見ている

ふと 少年は
白い毛糸玉を懐の奥深くに押し込んで
ジャンパーのジッパーを喉元まで上げた
夜の店先で立つ少年の懐は
じっとあたたかい

息苦しくなったのか
胸元がもぞもぞ
少年は思い直したように
ジッパーを下げて
白い毛糸玉を引っ張り出してやる
解放された二つのビー玉がきょろきょろ
房のような二つの耳が
パタパタ揺れる

やがて母親らしき女(ひと)が
買い物を終えて店から出てきた
少年は母親と肩を並べて歩いて行く
白い毛糸玉を大事そうに抱えて

More
[PR]

by hannah5 | 2006-04-27 22:56 | 作品(2004-2008) | Comments(7)

幾何学的アナログの営み   


どこが違うのかわからない
どこが合うのかわからない

たぶんそれは主観の共鳴
あるいは似ている感性

直立不動で立つ直線のそばを
変幻自在の曲線が流れて過ぎる

二つが出逢うことは奇跡に等しく
まして交わることは無に等しく

しかし直線がひととき呼吸を整え
曲線が時の彼方に思いを馳せる時
二つの対極が接点を作り
天上のエネルギーがスパークする

流れるものは
無から生まれた確かな手ごたえ
印象と呼ぶにはあまりにもリアル
希望がそこから生まれる
[PR]

by hannah5 | 2006-04-26 18:09 | 作品(2004-2008) | Comments(7)

哀しみの余韻   


長々とおしゃべりしたあとに残っていたものは
小さな哀しみの余韻
孤独に捕われてしまった哀しみから
逃がれる術もなく
しかし無力な抵抗を試みてみる

何も知らずにいたあの頃のように
自由を気ままに手に入れることができたら
疲れたこの背中に羽でもつけてみようか
それともメリー・ポピンズのように
空の上に連れて行ってくれる傘を探しに行こうか

気弱な声でそっと呟いてみる
― そんな自由が欲しかったんだ
― 君だって自由が欲しいだろう?
唐突な言葉にすっかり戸惑い
彼女は本気だろうかと相手の顔を見る
― 本気だよ とっても

恋なんかするもんじゃないね
いつか自由を破いてしまうから
一度破いてしまった自由を繕うことは
気の遠くなるほどの痛手を負うことになる

それでも自由を想う
こんこんと流れる地下水のように
少しずつ膨らみながら
少しずつ地表を押し上げながら
いつか壊れてしまうまで
[PR]

by hannah5 | 2006-04-24 23:53 | 作品(2004-2008) | Comments(0)

寂しさはオブラートにくるんで   


少しずつ心を分け合い
ゆっくりとお話したよ
柔らかな絹のような心たち
簡素な食事に
笑顔がこぼれ落ちて
上等の思いやりが
食事をとびきりおいしくしてくれた
心を寄せ合っていると
寒かった季節も
いつしかあたたかく変わっていく

初めてだね こんなにお話ししたのは
私の知らない街に暮らし
知らない風に吹かれ
知らない空気を吸って生きている
それなのに心が優しく微笑んでしまう
共鳴している
共有している
心の在り処を

寂しさはオブラートにくるんで
心深くに飲み込んでしまったよ
きっと今に溶けてしまうから

More
[PR]

by hannah5 | 2006-04-23 23:22 | 作品(2004-2008) | Comments(12)

人々の時間   


私たちはいつのまにかばらばらに生きている
同じ方向を見つめながら
同じ方向に向かって歩きながら
人間の集合体の無機質な存在の中で
孤独であることに慣れっこになってしまった
林のように歩く人々の間をすり抜けて行く
誰にも出逢うことなく
誰も記憶にとどめることなく
心の痛みも叫びも聴かないまま
黙って通り過ぎる

時折 人々の姿が
パーツごとに目に飛び込んでくる
それは形のいい脚だったり
小さなお尻だったり
きれいにお化粧した頬やまぶただったり
人格とは無関係に
また無造作に過ぎ去って行く

人々の波がまたやって来た
次の目的地へ行くために
前の目的地から来るために
都会の中を
整然と
黙々と
ひっそりと

お知らせ
[PR]

by hannah5 | 2006-04-21 20:44 | 作品(2004-2008) | Comments(6)

一日の終わりに   


一日がいろいろと形を変え
音色を変えながら進んでゆく
ある時はあたたかく迎えられ
またある時は冷たく無視される
そうかと思うと丁重に扱われ
またそうかと思うと意地悪な言葉を浴びせられ
ひとしきり気を落とし
涙まで流す
優しい友人が慰めてくれなければ
あの日もその日もつぶれていた

だから夜になって
コーヒーを飲みながら
言葉を思い出し
言葉に綴られ
ごくプライベートな時間に埋没するのは
私が私を思い出す大切な時間なのだ
自惚れも孤独も哀しみも
すべてコーヒーに浮かべたまま
誰も知らない片隅で
誰も知らない自分に出会う

詩はいつも私に優しい
[PR]

by hannah5 | 2006-04-20 23:46 | 作品(2004-2008) | Comments(6)

携帯メール   


私たちの会話は静かに進む
手のひらの小さな機械の上で
せわしなく動いている親指の先から
言葉を交わす
黙々と

誰にも聞かれることもなく
誰にも見られることもなく
手のひらの上のプライベートな空間が
心の中を歩き回り
突っついたり引っ張ったり
積んだり崩したりしながら
今日の思いを告げていく

やがて手のひらの中に飛び込んできたのは
遠くで生まれた思い
誰にも知られずにひっそりと生み出され
親指のかすかな動きで送り出されたひとつの形
小さな画面を見つめながら
手のひらが安堵している
思いの授受に

ご心配おかけしました。
[PR]

by hannah5 | 2006-04-19 23:02 | 作品(2004-2008) | Comments(8)