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そのあとの人生   


こうして詩を書いていると
多少お金があるかないかや
将来開けてくるかもしれない道や
恋愛がうまくいっているかどうかなんて
わたしの本筋でないことに気づく

子どものころ
あまり心配したことがなかった

すすき山を弟と一気に駆け下りたり
どんぐり山を秘密ごっこで探索したり
電車が下を通る階段で 母と二人で大学芋を食べたり

体が弱くて疲れやすかったけれど
心が自然に呼吸するように生きていた

詩を書いていると
あのころの心の呼吸を思いだす

生きていることは
そんな呼吸の連続なんだと
詩は教えてくれる

母と大学芋を食べたり
すすき山を駆け下りたりしたころが本物で
そのあとの人生は つけ足しかもしれない
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by hannah5 | 2006-06-30 01:30 | 作品(2004-2008) | Comments(12)

Sinking Sand   


砂地のようなこの国に
杭を一本打ち込むのは 思ったより至難の技だ
打っても打っても 杭は砂の中に消えていく

先人達の苦労は 博物館の資料にしかならないのか
博物館の陳列ケースの中には よく
苦労話が写真や美しいエピソードにして残してあるが
苦労の文化的価値よりも
今在る私たちの魂をどうしようか
ということの方が先ではないのか

大した成果も上がらず
お金にもならず
雑用ばかり多いこの仕事に 杭を打ち込んでいるのは
小さくても固い土台が
いつかできるだろうと思うからだ

砂地のようなこの国に
今日も一本杭を打つ
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by hannah5 | 2006-06-29 01:41 | 作品(2004-2008) | Comments(6)

無題   


いやぁな話も いい話も
書いてくれよ

かなしい話も うれしい話も
書けばいいんだよ

どんな話でも 詩に書いてくれ

それできっと 心ってヤツが芽を出すから
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by hannah5 | 2006-06-27 23:25 | 作品(2004-2008) | Comments(8)

いつもありがとうございます   


いつも詩織を見てくださり、ありがとうございます。

最近、詩が変わり始めました。詩織を始めてしばらくは言葉が湧き水のように溢れ出ていました。多分にそれは、外国で日本語から離れて暮らしていたために、本来活発に行われているはずの言語活動が抑圧され、その反動で溢れていたからだと思います。

3年経ってようやく、言葉の上澄みが取れて、言葉の本質が変えられようとしています。日本語の響きで遊ぶことがただ嬉しかった時期が過ぎて、言葉の深みと厚みを求める時期が来ました。これからはもう少し時間をかけて推敲しながら詩作をするかもしれません。もちろん溢れてきた時には溢れたように紡いでいくと思います。

少しずつ変化していく詩織を、これからも見守っていただければ嬉しく思います。


はんな
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by hannah5 | 2006-06-26 23:51 | ご挨拶 | Comments(14)

夜の狭間で   



静けさが真綿のように包みこむ

昼間の疲れから解放されて
夜の深みに帰り始める
行き場を失くした想いたちが不揃いのまま浮遊している

陽の光にきらめいていた夏の初めが
ふと、蘇った
風だけが吹き過ぎるその場所で
わたしはいつも遠くを想って見つめた

一人でもぎとったノスタルジーと
歯切れの悪い焦燥感

難破船のような孤独と
深海魚のような自由

知らない所で時間が取られ加えられた

夜が深みを増す頃
見えなかった時間の続きを捜しに行く

夏はゆっくりと過ぎていった
ゆるやかな夏の向こうに
閉じられた時間と開かれた時間が続いていた

あの時、もっと遠くまで見ていたら
少しは季節が優しくなっていたかもしれない

切れ切れにつながっている時間を
夜の狭間でじっと見ている
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by hannah5 | 2006-06-25 23:48 | 作品(2004-2008) | Comments(0)

雨が降るとき   


悲しいときにはおしゃべりはしない
悲しみから眼をそらして おしゃべりをしても
底の方には悲しみが鉛のように坐っている

悲しいときには
悲しみを一心に見つめている方がいい

悲しみの真ん中に立つと
悲しみが透き通ってきて
青い空になる

青い空を絞ると
悲しみが雨になって落ちてくる

一日中 雨が降り続くのは
数え切れないほどの悲しみが溢れているから

人に心を伝えることができないときに
悲しみは私の心を深く知る
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by hannah5 | 2006-06-24 23:40 | 作品(2004-2008) | Comments(6)

金曜の夜   


更けていく夜の下で
ここは昼と同じ時間が続いている

読みかけの本は
読んでしまうのにちょうどよい時間

大人も学生も黙々と
プロジェクトの続きを書いている

山盛りの会話は途切れることなく
友情は夜もっとも開くらしい

二人なのに一人の面持ちのメールは
夢の隙間を埋めてくれる

イヤフォンと文庫本が悠々と泳ぎ回り
世界を組み立て広げていく

笑い声が昼よりも熱をもち
面白さが突き抜けている

ふだんより多目の自由がここにはある
これからどこかへ遊びに行こうか

週末がくる前は
夜はぎりぎりまで押しやられる
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by hannah5 | 2006-06-24 02:15 | 作品(2004-2008) | Comments(0)

せせらぎ   


一日中
言葉が静かに流れていました
お喋りをしたり
話を聞いたり
ごはんを食べたりしている間にも
心の奥で
せせらぎのように言葉がさらさらと流れていました

湧き水のように溢れていた言葉たちが
いつしか細々と
一定のリズムで流れるようになりました

静かな流れを聴きながら
こんな日が来ることを
昔からずっと待っていたように思います
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by hannah5 | 2006-06-23 00:18 | 作品(2004-2008) | Comments(8)

終止符   


せっかく話し始めたのに
途中でやめなければならないのは
とても残念です
あなたとなら
最後まで話が合うと思っていました

どうしたら
中途半端に終わらないように見えるか
今考えているところです

静かに終止符が打てれば 一番いいのですけれど
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by hannah5 | 2006-06-22 23:34 | 作品(2004-2008) | Comments(2)

神さまの時   


ゆうべ本当にふんわりと
そしてしっかりと思った

私には神さまからもらった一つの塊がある
それはとても大きな固い塊で
私の懐に深々と埋め込まれている

塊がなかった頃
生きていることは手のひらの砂のようだった
すくっても
すくっても
砂は指の間からこぼれ落ちて行った

塊が与えられて
足元に灯りがともった
歩いている方角が見えるようになった

神さまのために生き
神さまとともに歩く召命という塊を
私は揺るぎない思いで抱えている

最近、道が険しい
どこを歩いても息が切れてしまう
神さまの声もどこか遠い

ぼんやり悲しい思いでいたら
なんだか急にふんわりと
塊が懐の中で光った

それで思ったのだけれど
神さまには
神さまが定めた
神さましか知らない時がある
私はもしかしたら
力ずくで時を早めようとしていたのかもしれない


焦らずに
神さまの時を待っていると
やがて道はやさしくなるのだろう
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by hannah5 | 2006-06-20 23:50 | 作品(2004-2008) | Comments(6)