<   2006年 10月 ( 23 )   > この月の画像一覧   

想う   


ここからあそこへ
線を放つ

遠いらしい
という分だけ後ずさりして
ぎりぎりと

風にたわんでも切れてしまわない
蜘蛛の糸のようにしなやかで
丈夫な線を幾本も
撚り合わせる

びょうびょうと
時間がかかるらしいから
一本ごとに
想いの丈を強くする

あそこが在るから
見るたびに
想うたびに

ここからは
ゆるゆるではなく
少しではなく

一心に
想いを込めて

ここからあそこまで
まっすぐに
線を放つ
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by hannah5 | 2006-10-31 13:01 | 作品(2004-2008)

  



泣くように
笑うように
花が散る

ひたひたと
うつろう季節に
身をまかせ
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by hannah5 | 2006-10-30 17:14 | 作品(2004-2008)

ぽろろん   


アイスクリームを見てたら
大粒のなみだが
くぅーっとあふれてきて
右の目の下や
左の目のすみっこに
まあるい水たまり

おとうさんがこまった顔して
なみだを見てる

― どうしたの?

・・・・ぅぐっ・・・・・

なみだが
おなかの中をごろごろかける

急にのどにかけあがってきたよ

ぐわあぁん

のどから雨がふってきた

― どうしたの?

まあるい水たまりが
ぽろんと おちる

ぽろん
ぽろん
ぽろろん

雨がわんわん ふってくる


アイスクリームって
ときどきかなしい
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by hannah5 | 2006-10-28 23:43 | 作品(2004-2008)

かりんとう   


ここから先は
だれもはいれない
と、線がさっと引かれる

静かな街から
帰ってきたよ

不思議と
だれにも会わなかった

ぜんぶ
おろしておくね

かりんとうを
ぽりぽりかじる

お茶が熱くて
いいにおい



※タイトルを「ここから先」から「かりんとう」に変えました。
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by hannah5 | 2006-10-27 23:43 | 作品(2004-2008)

夜がとけて   


人々が寝る仕度をはじめるころ
やっと解放されて
家路につく

疲労が剥がれ落ちていく

身体の中で垂直につっかえていたものが
放たれていく

芯が抜けて
固まっていた空気がゆるみだす

冷たかった夜が
端の方から溶けはじめる


ふっつりと
なつかしさがよみがえった
薄い絹のように広がっていく


私の心のすぐそばに
あなたの心が
ある


※ 「とけて」は「溶けて」でも「解けて」でもよい
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by hannah5 | 2006-10-26 23:57 | 作品(2004-2008)

聴こえる   


奥の方で
静かに
静かに
鳴っている
不思議な音色

いつだったか
聴いたことがある
小さな灯に触れるような
青くかすかな音

けれど
耳を澄ましてみたら
今まで聴いたことがない

(どこかでさわれそうな)

手を伸ばしたら
すっと引っ込んで
ぴたっと止んでしまった

じっとしていると
やがて静かに
すべりだした

小さな音

たくさんの細いぎざぎざ
幽かな直線と直線の茂み
生まれたばかりの明るい空気

私に触れては通りすぎる
魂のほのかなささやきを
じっと
聴く
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by hannah5 | 2006-10-24 22:32 | 投稿・同人誌など

雨がわらうよ   


空が口をすぼめて
歌っていたら
飲みかけの水が
こぼれてしまった

ピシポシ
ピシポシ

なんだか
可笑しくなって

ポテテテ
ポテテテ

おなかが
こぼれて

ポテポテポテ
ポテポテポテ

どんどこ
どんどこ
こぼれだす

ポシュシュン
ポシュシュン
ポシュポシュシュン

突然
はじけてしまった
おなかのうちそと

グプフヮッポ
グプフヮッポ
グポポポポ
グポポポポポポポポグ
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by hannah5 | 2006-10-23 22:47 | 作品(2004-2008)

ゆうべ見た夢   


何もかも
本当に何もかも
追いつくことができなくて
到底 取りかえしがつなかいのに
私はなぜだか 予定通り
卒業試験に出席しなければならない

卒業試験がこれから始まろうという時に
卒業試験があることさえ知らなくて
―― 欠席ばかりしていたから

当然 準備もしていなかったから
頭の中は真っ白のまま

なすすべもなく
「大失敗」の三文字がやたらに大きく響く

いつか追いつくと思っていたのに
いつか立派に卒業できると思っていたのに

           *

夕べ 見た夢はあまりにもリアルだった
目が覚めて
今 見ている世界がまるで夢のようだ

そういえば
丸ごと失敗を呑み込んだあとのような
埋めようもない空白感が
しばらく前から 底の方に染みついている
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by hannah5 | 2006-10-21 23:48 | 作品(2004-2008)

まっすぐに 安らかで   


ブランコが揺れて
次第に揺れ揺れて
前にぐわぁあんと
後ろにぐうぇえんと
揺れに揺れて 空まで放り上がった時
みぞおちのあたりが急降下するような寒さを覚えた

誰がブランコを押していたのかはわからないけれど
どこからともなく湧いてきたうじ虫どもが
谷底をえぐっては 笑いころげていた


私は最近 そんなふうでした


ある時 こっちからむこうまで ぴちっと
まっすぐな板を渡してくれた人があった
すると いとも安らかな平衡感覚が生まれた

平安を保つとは これほど簡単なことだったかと思わせるような
実に見事な早業だった

ブランコは ぴたっと
まっすぐにしている


何かあったら
また よろしく頼みます
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by hannah5 | 2006-10-20 23:56 | 作品(2004-2008)

それでも 秋   


眠らない夜を 歩く
夜になると 何度も掘り返す道路工事
晧々と光る24時間営業の店
23時を廻ると 忙しく働き始めるマネキンの裏方
とろんと 溶け出しながら 遊泳が始まる

明るいトンネルの中のお花畑
一台 また一台と
猛スピードで車が抜けていく
ここで居眠りしようものなら
きっと つまみだされてしまう

コンクリートの中に点在する灯りの群舞が
一晩中 生々しく起きている
車も電車も人も 際限もなく
ズドドン ズドドン ズドドン
ピュポー ピュポー ピュポー

心と肉体が剥離しながら
ぎりぎりのところでつながっている

ふと想う
ふりしきるように鳴く 秋の虫たち
底という底で
隙間という隙間で
大昔から同じ営みを繰り返しながら
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by hannah5 | 2006-10-19 23:46 | 作品(2004-2008)